桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : 川村 湊 
  • 講談社
3.73
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本棚登録 : 1560
レビュー : 208
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960428

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙みたいに真っ黒な夜をバックにした丘の上に、満開の桜が咲いていて静かに、音がしないんだけど風が吹いていて桜の花びらが静かに舞い散る映像が鮮明に頭に浮かびました。静かででも生命を感じる幻想的な描写の多い作品。内容はちょっと怖いけど切ないよ。

  • 女と出会うまでは、どうして山男はあんなにも桜を恐れていたのか。

    きっと桜と自分しかいない空間は、「自我」を意識せざるを得ない環境だったからなんでしょうね。
    でもそんなものを持ち合わせてはいない山男には、「自我」が有る、と言う感覚は得体の知れない恐怖でしかなかったのかもしれません。

    だから、女への恋や街での人との出会いの中で「自我」を獲得した後は桜の中を通り抜ける事が何でもなくなった。
    それまでは「他者」に触れ合う事が無かったので孤独を知りようが無かった山男が、恋を知る事で孤独を知り孤独に耐えることが出来るようになった。

    子供が物心つく、というのもこのような感じなんでしょうか。

    自我の芽生えについてあれこれ考えさせられる作品です。

  • 怖かった(-。-;
    孤独ちゃんって・・・・(正確にはこの本じゃないけど、(良しとしよう))

  • 呼びました。抱きました。徒労でした。


    やられました。

  • 小気味よく、軽やかに、言葉が、リズムを生む。



    はじめの『小さな部屋』を読んで正直、
    (あぁ、こんなだったな。)
    と、ちょっと息苦しくなる。
    しかしそれ以降の物語のおもしろいこと、おもしろいこと。
    安吾の歴史物は初めてだったのだ。
    正直私は歴史にあまり広くないので、その真偽については謎だが、書き方の小気味よさと脚色のおもしろさでかなり魅せられた。
    歴史物の中では『二流の人』がかなり気に入った。
    安吾にかかれば秀吉も家康もみんなものの見事に暴かれる。きれいにつるんと、もう降参するしかないってくらい暴かれる。
    あっぱれ、いやいやこれは参った。
    そんな感じなのだ。



    安吾を読んでいて感じるのは登場人物の独特さだ。
    物語もほとんどが「人」で動いている。
    彼らの人間性を暴くことによって物語が進行するのに、どういう訳か登場人物はみなあまり人間らしくない。
    読んでいるとまるで着ぐるみのように感じられる。
    作者の意図をすっぽり被った着ぐるみ達。
    そうなのよね。
    これは文体の軽やかさも一因なのかなとも思う。
    今回は文体のリズムの軽やかなところが特に目についた。それもいやなんじゃなくて楽しいの。
    音で響かせて云々なんじゃなくて、自然に配された文の組み合わせが本当に小気味よい。流れるように素敵なリズムを持つ。わざとなのか、そうだろうな。至極まじめに文章書いている物語ではうっとりするぐらい文章がうまい。スタイルを自在に駆使できるのだ。
    すごいのよ安吾。お手上げって感じ。



    私はてっきり安吾は文学者の中でも最近の人だと思ってた。
    しかし調べてみればミシマより年上。
    大正生まれ、なのにこの人の文章はモダンだ。
    いやモダンって言うと芸術的なモダンさを思い浮かべるがそうではなくて、本当に現代作家のようなのだ。書き方がね。けして軽くなく、本当にノリのよい文章が至極よい。
    感覚の斬新さだろう。
    気に入った作品は『紫大納言』だった。
    なんだろう、めためたなのだ。どうしようもないほどに悲しく、きれいで、そして意味を持たない。他にも『夜長姫と耳男』や『桜の森の満開の下』などもぐっと来たが。救いようのなさにかけてはぴかいちで容赦がなくて非常によい。
    私が気に言ったそれらはすべて昔話を踏襲しての物語ばかりだった。
    原点への回帰、なんて言えば恰好がつくが、安吾はそういった話が落ち着く、結末部分の救いようのなさをしっかりと受け継ぎながらも、昔の物語であるからこその、どこか曖昧に出来てしまう部分をきっちりと暴いて提示してくるのだ。
    最後の解説にあったがそういった救いのなさが「文学のふるさと」であると安吾は考えていたらしい。
    おもしろいね。観念の表現を踏襲で、それもより鋭利な形での再現で行なうなんて。自在なのだ。そして強い。
    小説という既成の枠組みを踏んで無理にこびを売るつもりなんて興味ないのだろうと思う。
    お手上げだな。




    私は長らく安吾を敬遠していたわりに、読み始めたら結局気にいってしまったようだ。
    前回の『白痴』で目から鱗の衝撃を受けたのは確かだったが、それが今回も続くかどうかは別の話と思っていたが、まったく問題ない。今では長らく変な理由で読まなかったことを後悔しているくらいだ。
    次は『堕落論』かな。

  • 『桜の木の下には死体が埋まっている』

    この文が急に気になって本屋に走った思い出があります。
    もっと難しい話しばかりやと思ったですが
    短編でどれも面白かったです。

    ただ読んだのが随分前なんで詳しいコトは覚えてない・・・

  • やっぱり坂口安吾好きすぎる。

    「夜長姫と耳男」は芥川の地獄変に通じるものがあって暗い情念みたいな部分がすごくよかった。

  • 男、女、首、桜

  • 日本の花の象徴ともいえる桜、そしてそれがとりわけ美しい時期が作品の中で描写されているからか、不気味さと美しさがひきたっていてなんとも奇妙な気分でした。読んでいて、子供のような二人だなぁと。女は首遊びをしたり、豪華なものをねだったり、首を嫌ったり可愛がったり…わがままな所が小さなお姫様を彷彿させられます。日本だからこその文学。

  • 2010/04/12 16:40:29
     文体に慣れなくて、なかなか進まないなぁ……。
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    2010/04/13 08:17:22
    表題作を読み終わった。成る程ね~、色んなトコロで題材にされるのが解る。
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    2010/04/13 23:56:28
    思うように進まない……。文体にまだ慣れないのか。
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    2010/04/16 17:03:59
    『二流の人』とても読み難い……文章が合わないってあるんだなぁ。半ば義務感で読んでるが、まだ半分残ってる。辛いなぁ。
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     やーーーーーッと! 読み終わったぁ~~~。
     最初からちょっと、文体に慣れない所為か、読みにくいなと思っていたら、途中『二流の人』と『家康』が本当に読みにくくて(しかも『二流の人』が一番長い話)、何度も挫折しそうだったケド、その後の作品はサクサク読めた。
     以前野田秀樹の『贋作・桜の花の満開の下』を観劇した時、『桜の花の満開の下』と『夜長姫と耳男』が混ざっている話だと聞いていたケド、確かにこの2編は同じ感じの話だなと思った。
     舞台は『桜の花の~』の方が、ストーリー全体は『夜長姫~』の方が好みだった。

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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