桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : 川村 湊 
  • 講談社
3.73
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本棚登録 : 1558
レビュー : 208
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960428

作品紹介・あらすじ

なぜ、それが"物語・歴史"だったのだろうか-。おのれの胸にある磊塊を、全き孤独の奥底で果然と破砕し、みずからがみずから火をおこし、みずからの光を掲げる。人生的・文学的苦闘の中から、凛然として屹立する、"大いなる野性"坂口安吾の"物語・歴史小説世界"。

感想・レビュー・書評

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  • [桜の森…]桜は本来は畏怖の対象だったというグッとくる書き出し。美しさの中にグロテスクが内包された幻想的な怪奇小説。亭主を殺された美女は、殺した山賊を尻に敷き山賊の女を殺させる。都へ移り山に戻り桜の森で鬼となり桜となる。なんとも身勝手な女と欲のままに生きた山賊。なのにどうして儚い物語になるのか。ただ或る桜の森に対して得体の知れない恐怖と耽美を感じる不朽の名作。
    [夜長姫…]「好きな物は呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。… いま私を殺したように立派な仕事をして・・・」この一文が全て。恐ろしい小説。

  • 安吾は大好きな作家です。十年振りに読み返しましたが、やっぱり今読んでもいいなぁ。文体とか、ほんとに好みなんだなぁ。講談社のこの文庫に収録されているのは逸品揃いで、結局全て再読。『二流の人』エグいエピソードと間のいいカタカナ使いで安吾らしい戦国歴史絵巻。講談を聞いてるみたいで、するする読めて、ワクワクしちゃう。表題作と『夜長姫と耳男』は寓話的ゆえ、ついついこれらの物語が何を意味しているのか、などと分析してしまいそうになるけれど、それはつまらない。もう、そのまま、読むだけ。世界に浸るだけでいたい。

  • 坂口安吾が好きすぎて、冷静に判断できないのだけど
    この短編集はとにかくすべてが美しい。

    安吾らしい冷徹さと温かみの混在した、
    謎めいた、それでいてとことんリアルな世界観。
    表題作はとにかく一読の価値ありです。

  • 桜の花の満開はあまりに美しい。そして、あまりに美しいものには、不気味がある。ふとした瞬間に冷静では居られなくなりそうな何かが。

    「花の下は涯がないからだよ」

    何度も読み返す、大好きな作品。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「冷静では居られなくなりそうな何かが。」
      うんうん、安吾が読みたくなってきた、、、
      「冷静では居られなくなりそうな何かが。」
      うんうん、安吾が読みたくなってきた、、、
      2014/02/26
    • yukopantsさん
      安吾の独特の世界観、良いですよね。
      安吾の独特の世界観、良いですよね。
      2014/03/03
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「安吾の独特の世界観」
      はい心理面で、そうか!と納得するコトが多かったかと、、、
      「安吾の独特の世界観」
      はい心理面で、そうか!と納得するコトが多かったかと、、、
      2014/03/14
  • 気持ち悪さと美しさが交錯していて更に不気味さを引き立たせている

  • 短編が何作か載っているけど、やっぱり書名にもなってる話が一番好き。桜の花の美しさと残酷さ、明暗の対比、頭の中に広がる色。日本人だから書けた、そんな気がします。暗黒日本昔話という感じ。

  • 要求をすることにより、自分の毎日(人生)を幸せに形作ってくれていた妻、しかし、徐々にその際限のない要求の繰り返される生活に退屈、そして嫌気を感じ始める自分。
    桜の幻影に惑わされ、男が見ていた夢なのか、はたまた誰かの夢なのか。
    虚空。
    ラストの余韻は最高である。

  • 毎年桜の時季になると、必ずこの本を開きます。

    昔はこの作品に恐怖や畏怖の念を強く感じていましたが、
    今は結末の印象によって寧ろ清々しく、
    浄化されてゆく感覚を抱いています。

    読後、夢幻能に似た神聖さを感じ、
    「嗚呼、序破急の次には○が訪れるのか。」
    なぞという思考が沸き起こりました。
     (○は敢えて申し上げませんが、
      結末付近で繰り返される単語のうちの一文字です)
    左様に考えると、この作品を能楽の演目にしたら
    中々趣があるのではないでしょうか。

    散りもせず、無くなりもせず、唯あるべき処に還ったとすれば。
    桜の満開のその後に、哀しみを覚える理はないと感じるのです。

  • 審美社から出ている福田庄助さんの絵本が珠玉!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「福田庄助さんの絵本」
      おー!
      図書館をチェックしたら、蔵書されていたので予約しました。。。
      「福田庄助さんの絵本」
      おー!
      図書館をチェックしたら、蔵書されていたので予約しました。。。
      2013/09/20
  • 読書会きっかけで読んでいたものの、読書会過ぎて漸く読み終わりました。
    面白かったです。
    時代物・歴史物のお話たちでした。
    課題本だった表題作が好きです。
    狂い咲く桜と、血を求める女とそれを叶える男…狂気的ですが幻想的です。「彼自らが孤独自体でありました」全て桜の花弁になるラストシーンの凄絶な美しさも素敵でした。
    「夜長姫と耳男」も好きです。「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ」

  • 戯曲が先だったのもあって目の前に山や町の景色が広がるよう。桜が満開の夜にぶわっと吹く風は冷たい。感覚に来る感じ。

  • 映画を1本見終えた時の様に柔らかく余韻が身体を暖めてくれます、一文字一文字がビジュアライズされ、読み終えた時に何故だか「目が覚めた!」と感じた。

  • 芥川の「藪の中」みたいですな。

  • 坂口安吾の代表作。

    桜に対する価値観が変わるかもしれない。
    残酷で美しい御伽噺。

  • 桜に狂わされるなんて経験はしたことがないなぁ。北海道はタイミングを逃すと、満開の桜を見られずに終えてしまう一年がザラにあるので。

    どこが始まりで、どこが終わりなのか、はたまた最初から何もなかったのか不思議なお話でした。

    坂口安吾の小説を読みたくて、なるべく短めのものを探していた時に見つけた作品です。

  • 何度も読み返す数少ない作品。
    昔話のような物語なのだが、
    表現がとても美しい。
    題名は日本文学史に残る傑作。

  • この世でいちばん好きな本です。
    (今のところ…)
    満開の桜や、花吹雪の中女を背負って歩いていく男が目に浮かんできます。
    桜の頃になると読みたくなって、読み終えるとなんとなく寂しくなって、しばらくボーっとしてしまいます。

  • 怖かった…。
    想像以上!

    ただ最後…本当に美しかった。
    ぞっとするほど。

    ひそひそと花が降ります。

    ひそひそ…がすごくいい。

  • 青空文庫版で読んだ。

    桜の描写が「満開」「花びら」一辺倒で驚いた。

    「満開」としか書いてないのに美しい小説と言われるのは、満開の桜を見たことがある読者が頭の中で思い描いてる桜がきれいだから。

  • 安吾の言葉から、血の力がプツプツと泡立ちながら吹きだしている。凄まじい叙情性の記録映画の中に、入り込んでしまったような錯覚。
    表題作「桜の森の満開の下」に至っては、活字が次第に文字言語でさえなくなってしまうような耽美性、危険な力が充満していた。眠る前に読んだ時、桜の舞い散る嵐の中で死を夢想しながら佇んでいる、現実と夢との境界が崩壊したような生々しい夢を見た。

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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