かくれ里 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061961227

作品紹介・あらすじ

世を避けて隠れ忍ぶ村里-かくれ里。吉野・葛城・伊賀・越前・滋賀・美濃などの山河風物を訪ね、美と神秘の漲溢した深い木立に分け入り、自然が語りかける言葉を聞き、日本の古い歴史、伝承、習俗を伝える。閑寂な山里、村人たちに守られ続ける美術品との邂逅。能・絵画・陶器等に造詣深い著者が名文で迫る紀行エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 一昨年、都内の美術館で開催された白洲正子展へ足を運んだのが、同書を手に取る契機でした。
     
     岐阜、福井、滋賀、京都、奈良の…現代風にいえばB級の寺社仏閣を中心に、白洲が実踏して感じ取ったことをその土地の歴史や伝説等を引き合いに記述されてます。
     
     とりわけ興味を持ったのが、奈良県宇陀市にある大蔵寺の薬師如来立像に関する話。以下抜粋。
     
     「正直なところ、大蔵寺の環境や建築には感心しても、中身の仏像にはあまり期待が持てなかった。~(略)~本堂の扉が開かれた時、それは見事に裏切られた」
      
     この薬師如来立像、展覧会で鑑賞できたのですが…この手の物って、現地で観ないとホントの良さがわからないと思うのが本音。しかしこのお寺、無断で境内へ立ち入ることすらお断りしているようで(=予約制でそれになりの出費も覚悟が必要。。)、ハードルは高い模様。『かくれ里』は昭和46年にかかれたもの故に、現在は当時の面影が消えている場所も多いようですが、この大蔵寺だけは当時の面影を未だに残しているようです。いつかは行ってみたいですね

  • 十年以上前に買ったものを、ようやく読了。
    ただ、通勤電車の中での読書には合ず、文章が頭に入ってこなかった。ゆっくり地図をひろげて、再読したい。
    現在、この本に描かれてる地はどうなってるのだろう?
    まだ歴史が息づき、人々の生活が継承されてるといいのだが。

  • 紹介されたかくれ里の近くに住む者として、一編一編の人間らしい視点をとても温かく感じました。

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  • 行きたい!

  • 2019/8/4 読了

  • 19/02/24。

  • 奈良に行く機会があって買ったのだけれど、素晴らしい本だった。奈良は通ってみると面白いのだと思う。

  • 都丸書店にて

  • 広範にわたる著者の知識量に圧倒されるとともに、卓越した美意識が鋭く私の心に突き刺さる。歌論エッセイでは鋭敏にして繊細な感性を持つイメージが強かった白洲正子像だが、本書は言葉の端々に力がみなぎっている紀行文であり、現代への鋭いまなざしが私のあり方を問い直すようだ。たびたび訪ねてきた古都にかぶれてきたものの、そうした観光地は一面的かつすでに手垢にまみれた「伝統」のステレオタイプにすぎなくて、日本の本来の姿は人目につかぬ山里に宿り根づいているのかもしれない。もう一度じっくり近江を訪ねてみたいと強く思った。

  • 山奥ではなく、名所旧跡、街道筋から少し離れたところ、そこは新たな幹線道路の建設等でさびれてしまった古い社や寺などが現在する。そんな「かくれ里」を、我が故郷の奈良の吉野、葛城を中心に、伊賀、滋賀の寺社、風物、そこの人びとを訪ね歩く、著者を代表する紀行文とのこと。
    古来よりの伝承、習俗、素朴な美術品から語り明かされる古えの歴史が、著者独特の審美眼と歴史観で蘇る。本書を携えての追体験をしてみたいが、40年以上も前の本、すでに失われてしまった景色も多いのだろうなと、故郷のおおよそ美しくない開発ぶりを見てて思う。

     著者は歴史の専門家ではない。故に考証にはなんの信憑性もないのかもしれないけど、彼女が地元の風習や言い伝えから感じとる歴史は、そこはかとなく温かい。

    「真実以上の真を語るなら、噓から出たまことのみが歴史だと、そう言いきっても過言ではないと思う。」
    「史書にあるからといって、或いは外国の記録にあるからといって、頭から信用する人たちを私はいつも疑問に思っている」

     いいね、こういうスタンス!

     とにかく本書も例によって学ぶべきことが多い。すべてを1度の通読では覚えきれないし、理解が及ばない。また折を見て読み返しつつ、その真髄に触れていきたい。
     今回よかったのは、仏教伝来にまつわる話で、日本の神仏混淆の思想は、仏教を広めるには、日本古来の神の助けを利用したという発想。それを
    「日本の神を経糸に、仏教を横糸にして織りあげたのが、いわゆる本地垂迹説であった。」
     と喝破する。あぁ、お見事!

     また、吉野、熊野のことを、“魂の還るふる里”、 那智の滝の上方にそびえる阿弥陀が峰は、死霊の集まる霊地であったことから、熊野は死者の国、神話が伝える黄泉の国とし、
    「そこを目指して行く大峰行は、いったん死ぬことを意味したにちがいない。」
    と、古事記の記述が現実であったか、あるいは神の行為と同じ体験を修行のひとつとして奨励していたという考察が面白い。

     奈良の山間部の奥の奥では、神話の世界が今も息づいていると思わせてくれる。奈良県人としては必読の一冊だった。

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著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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