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- Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061961258
作品紹介・あらすじ
逃亡兵が闇の中で射殺され横たわる「小さな礼拝堂」。凍てつく酷寒の町に一人出されて道路掃除する「掃除人」。シベリヤの捕虜収容所体験をもつ作家の冷静な眼は、己れを凝視し、大仰な言挙げとは無縁の視座から出会った人々、兵士、ロシヤの民衆の生活を淡々と物語る。「舞踏会」「ナスンボ」「勲章」「犬殺し」等11篇より、人間の赤裸に生きる始原の姿を綴る現代戦争文学の名著。
感想・レビュー・書評
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戦後シベリヤでの労働を経験した著者の小説集。
悲惨なはずだ。悲惨でない要素なんて本当はないんじゃないかって思っているけど、長谷川四郎の人を観る目があまりにクリアで文体も簡素なのでなんとなく「日常」を感じてしまう。
そこにユーモアまで存在するのがすごいと思った。
「掃除人」「ラドシュキン」「犬殺し」が特に印象深かった。
固まった生ゴミや屑のなかから見つけ出したチェーホフの神々しさはすごい。 -
物語、なんだけど、物語、ではないようだ、と考える。
感傷を丁寧に丁寧に排除して、その先に見える透徹ななにか、を書いてみせた、そういう文章。うわー、っと感嘆の声を上げたり、ぶわー、っと感動の涙が溢れたり、ということを要求しない、なんとも言いがたい、だからこそ小説にしたのだろう、そこに対しては感嘆も感動も惜しまない。
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