上海 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (1991年9月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (324ページ) / ISBN・EAN: 9784061961456

作品紹介・あらすじ

1925年、中国・上海で起きた反日民族運動を背景に、そこに住み、浮遊し彷徨する1人の日本人の苦悩を描く。死を想う日々、ダンスホールの踊子や湯女との接触。中国共産党の女性闘士芳秋蘭との劇的な邂逅と別れ。視覚・心理両面から作中人物を追う斬新な文体により不穏な戦争前夜の国際都市上海の深い息づかいを伝える。昭和初期新感覚派文学を代表する、先駆的都会小説。

みんなの感想まとめ

不穏な戦争前夜の国際都市、1920年代の上海を舞台にした物語は、視覚と心理の両面から人物たちを追い、当時の生々しい息づかいを描き出します。著者は実際に上海を訪れ、この「魔都」での様々な人々の生活や苦悩...

感想・レビュー・書評

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  • 戦前の上海を題材とした戦前の作品。日本モダニズム文学の重要な作品として位置づけられているが、ストーリーや登場人物が複雑で、読み手によっては楽しみにくい内容。国際的な都市上海での多様な人間模様や、時代背景が濃厚に描かれるため、物語の進行に没頭するというよりも、歴史的・社会的なメッセージに焦点が置かれる。

    「登場人物が多く関係性も分かりにくい」「ストーリーに大した面白みを感じない」という評価もあるが、それはこの作品の特徴的な構造に起因しており、横光の意図が物語のエンターテインメント性よりも、時代の空気や人間の本質を描くことにあったためともいえる。らしい。

    物語は、近代化と混沌の象徴ともいえる上海を舞台に、日本人、中国人、西洋人たちが絡み合う群像劇として展開される。プロットの展開が目まぐるしいというものではない。時代の雰囲気を味わう資料という感じか。

  • 視覚・心理両面から作中人物を追う斬新な文体により不穏な戦争前夜の国際都市上海の深い息づかいを伝える。昭和初期新感覚派文学を代表する、先駆的都会小説。

    自分は上海人として上海の旅はかなりプラス面が多いです。自信を与えてくれます。勿論、良くないことも目に入ります。でも、新しい発見が出来るなら、又行きたいと常に思ってます。

  • 常々読みたかったので、読み終わったことは大満足。
    ところで、恋情はどこにいった⁈
    どの人物に自分の読みの中心がいっているのかわからなくなった。心理よりも空間の変化に注目して読み直す必要あり。
    上海という空間の猥雑さと混乱のほうがよく書かれているような気がした。

  • 1920年代の上海。欧州列強に加えてアメリカが中国でのビジネス拡大を狙い、日本もまたそれに対抗する。そしてまた、革命を逃れたロシア貴族が滞留。現地の中国人の多くは、国内外の資本の下で厳しい労働条件に苦しみ、共産党が勢力を伸ばす。その共産党が外国資本に打撃を与えるべく罷業を計画すれば、それを中国の資本家が陰で支援したりもする。街には日々大量の物資が船などで出入りし、それにともなって大量の廃棄物・排泄物がでる。それらがドブとなった運河で発酵し常に泡立つ。著者は、実際にこの時代の上海を訪れ、ほぼ同時代にこの作品を書いている。それだけに当時の「魔都」上海に集まる人びとが生むものすごいパワーとそれらが淀んで渦を巻く、そんな暑く湿った空気感が生々しく伝わってくる。そうした中でこの街に流れてきた日本人たちの様子も様々に描かれ、この時代の上海を知る助けとなった。

  • 面白いけど、ちょっと疲れちゃったな。

  • 新感覚派の雄がものした国産ハードボイルドの先駆け。隠れた大傑作。とにかくカッコいい!!!

  • 暗く淀んだ路地裏、花売りの声、豚の油の浮いた下水の匂い。刻一刻と変化していくアジアの情勢。上海の息づかいと歴史の息づかいが見事に調和している。

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著者プロフィール

よこみつ・りいち
1898〜1947年、小説家。
福島県生まれ。早稲田大学中退。
菊池寛を知り、『文芸春秋』創刊に際し同人となり、
『日輪』『蠅』を発表、新進作家として知られ、
のちに川端康成らと『文芸時代』を創刊。
伝統的私小説とプロレタリア文学に対抗し、
新しい感覚的表現を主張、
〈新感覚派〉の代表的作家として活躍。
昭和22年(1947)歿、49才。
代表作に「日輪」「上海」「機械」「旅愁」など。



「2018年 『セレナード 横光利一 モダニズム幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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