三匹の蟹 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : リービ 英雄 
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061961753

感想・レビュー・書評

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  • 1968年上半期芥川賞受賞作。タイトルからは日本的な物語を想像していたのだが、なんとアメリカが舞台の小説だった。バス代が85セントというところで気がついたのだが、意表を突かれた思いだった。なんと「三匹の蟹」は、海辺の宿の看板だったのだ。実際の舞台はアラスカらしいのだが、それは小説の中では特定されていない。そこに暮らす(期間も不明だが、それ相応に長そうだ)日本人ファミリーの心の空隙を描き出しているのだが、他者との関係性の異質さと孤独感が、読む者をも寂寥の想いに誘うかのようだ。

  • ちょっとしたショックのある作品で、どことなく、懐かしのアメリカ映画(アクションではない)を彷彿とさせます。

    この作品を読んで、フォークナーを無性に読んでみたくなりました。

    ふと、アメリカの田舎町の風景が目に浮かんでくるような、そんな文章。蟹というと心臓のイメージがあります。なんとなく、中身が詰まっていそう。

  • 1968年に群像新人賞と芥川賞を同時受賞した作品です。
    当時の文学界を震撼させた!と絶賛されており、興味が湧き図書館で予約しました。(本としては絶版されているそうです。)

    芥川賞の割には読み易く、50年前の作品なのに今読んでも全く古臭い感じがしないことに驚きました。
    人間関係の不信、外国に暮らす孤独感などが、無意味な会話や皮肉な会話から伝わり、主人公の空虚感がよく表れています。

    うーん。でも私には文学的過ぎたな。

  • [ 内容 ]
    “大型新人”として登場以来25年、文学的成熟を深めて来た大庭みな子の、あらためてその先駆性を刻印する初期世界。
    群像新人賞・芥川賞両賞を圧倒的支持で獲得した衝撃作「三匹の蟹」をはじめ、「火草」「幽霊達の復活祭」「桟橋にて」「首のない鹿」「青い狐」など初期作品を新編成した作品群。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 馴染みのない舞台の小説で登場人物の価値観を飲み込めず、戸惑うことがあります。
    大きな枠組みがしっかり埋め込まれていれば、同化とまで言わずとも、その価値に向き合う準備はできます。

    アメリカに住む日本人、ネイティブ・アメリカンを登場人物が
    繰り広げる女と男と自然を描いた7篇です。

    「人間の占める割合が、残っている自然にくらべて大きくなりましたから、人間の中にわずかな自然をみつけ出して喜ぶのは貴族的なんです」 (トーテムの海辺)

    生活を自然の中のひとつとする目と、生活の中でみつける自然の欠片を自然とする目は向きが逆です。

    一見知的にみえながら知識のための無意味な会話。
    生きていくために必要な知識を力とする一族の会話。
    女性が惹かれる男性像や心の揺れが、アメリカを舞台に描かれています。

    作者がデビュー後5年間、1968年~1973年は、ベトナム戦争、ヒッピーなどアメリカが迷走していた時代。

    その時代を舞台にした人間の自然との向き合い方は、生物である人間の姿が浮き彫りになります。

  • 『淋しいアメリカ人』という昔江角マキ子を嫁いびりした作家の本を思い出す。「三匹の蟹」の主人公が参加したがらない「ホーム・パーティ」というのはその象徴的な場かもしれない。「淋しいアメリカ人」は「淋しい日本人」を呼ぶ。ただしこの著者に限っては、異邦に身を置く日本人としての淋しさのうえに「誰にも本当のことを言えない」母としての、「イマジネーションがありすぎる」妻としての、「どうにもならないで男にすがりつくしかない」女としての淋しさが重なっているらしい。その重なりがなければここまで冷めた女性の肖像はつくれないだろう。それにしても「首のない鹿」の色彩のイメージはすさまじすぎる。

  • 表題となっている「三匹の蟹」が一番好きだった。

  • 敬愛する村上龍氏のエッセイに出てきたので、借りてみました。

    会話がおもしろくて、おお、中々…!!
    とわくわくしてたのに、何か気付いたら終わっとった…

    これが文学…

  • アメリカ在住の日本人主婦が主人公。ホームパーティを開くが友人達との会話が嫌で出かけていきずりの男と関係を持つ。そのホテルの名前が”三匹の蟹”。昭和40年代はこういうひねくれ方が新しかったんだろうと思うが、気持ち悪いだけとしか思えない。不健康な本。

  • もっとじっくり読みたい本。
    評価は保留で。


    中身は満ちているけど輪郭を掴ませない。
    表面を流れて落ちていく言葉。縺れあってすりきれた世界。


    様々な短編中の、ぼんやりしているように描かれて女性が一番世界の醜さと生々しさを見通していたのではないでしょうか。

    気怠い中年の会話の話と、狂気と神秘が半々の自然の話が多かった。

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