反橋・しぐれ・たまゆら (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (1992年9月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (284ページ) / ISBN・EAN: 9784061961906

作品紹介・あらすじ

“あなたはどこにおいでなのでしょうか”戦後間もなく発表された「反橋」「しぐれ」「住吉」3部作と、20余年を隔て、奇しくも同じ問いかけで始まる生前発表最後の作品「隅田川」。「女の手」「再会」「地獄」「たまゆら」他。歌謡・物語、過去、夢、現、自在に往来し、生死の不可思議への恐れと限りない憧憬、存在への哀しみを問い続ける、川端文学を解き明かす重要な鍵“連作”等、13の短篇集。

みんなの感想まとめ

母を求める旅と孤独をテーマにした本作は、戦後の日本文学を代表する作品群を通じて、深い哀しみと憧憬を描き出しています。「反橋」「しぐれ」「住吉」といった連作は、共通の問いかけで始まり、主人公が母の面影を...

感想・レビュー・書評

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  • 最晩年に書かれた「隅田川」を除いてすべて戦後数年の作品を集めた短編集。そのせいか、特攻で死んだ恋人のために後追い自殺を考える娘の「生命の樹」、戦争で曖昧に別れた元愛人と戦後再会した男の「再会」など、敗戦後の空気感が濃厚な作品が多かったかも。そして文学とは本来すべてそうなのかもしれないけれど、どれも死の気配が濃い。

    お気に入りは、すでに死んだ男がぶらっと軽いノリで友達に会いに温泉旅館にやってくる「地獄」、「生きている方に味方する」というメッセージがストレートで意外にもポジティブな「生きている方に」などでした。

    ※収録作品
    「反橋」「しぐれ」「住吉」「隅田川」「女の手」「再会」「生命の樹」「夢」「生きている方に」「地獄」「北の海から」「たまゆら」「お正月」

  •  本書に収録されたのは戦後間もない1946(昭和21年)から1951(昭和26)年に書かれたものばかりで、それに1971(昭和46)年、川端最後の小説「隅田川」を加えた構成。
     巻頭の「反橋」「しぐれ」「住吉」および「隅田川」は共通して「あなたはどこにおいでなのしょうか。」との一文で始まり、人物なども共通した「連作」に当たる。これらの作品はかなり随筆っぽい書き方で、しかしフィクションだから小説なのだが、随筆だか何だかというこの領域のたたずまいは永井荷風の一部の作品にも見られるし、日本独特の文学フィールドであるのかもしれない。もっとも私はこの4作品には今回あまり惹かれるものはなかった。
     やはり小説らしい後続の作品群が面白かった。文体がかなり懲りまくっていて読みにくいものや、「死」のテーマが極めて露骨に据えられたものなどもあるが、全体にやはり微妙なかそけき味わいに満ちていて、要約や批評が難しい。高校時代から川端康成は割と読んできたが、必ずしも「好き」とは言えず、感性の異なりも意識されるが、芸術的ではあるし、微妙な味を楽しむ文学世界として、時間を費やす価値のある小説だと思う。


  • 川端康成 は 純文学的な長編小説のイメージが強いが、短編小説や掌編小説の方がハードルが低くて面白い


    講談社文芸文庫 も主題を揃えて短編を集め、解説 ( 竹西寛子 )を充実させて、いい仕事している


    この本の主題は「母を求める旅」「孤独」「古典回帰」あたり。幻想や死のイメージは薄れ、心の平安さを感じる作品群


    物語のアイデアや 言葉選び〜特に序文と結文〜が秀逸だと思う。私小説的であり、主人公が 著者の分身として生きているように感じる


    特に、母を求める旅(孤児根性)の始まりから終わりまでを描いた連作〜反橋、しぐれ、住吉、隅田川〜は感動的だった。3連作から20年以上経って「隅田川」で終わる壮大な構想は 初めから意図していたものなら 凄い


    名言「僕は生きている方に味方するね。きっと人生だって生きている方に味方するよ」





  • 13の短編集。終戦後まもなくに愛人と偶然再会した「再会」、亡くなった男を思い死を決意しながら別の男と旅に出る女「生命の樹」が印象に残った。一筋縄でない心境が伝わってきた。他の作品に関しては、私の無学もあり正直よく分からなかった。

  • 美しい。清らかに流れる小川の水はすうっと胸の奥の記憶の彼方へと染み込んでいく。しかし、小川に落ちるのは敗戦の影。死の流れに抗う生。今まで川端の作品には苦手意識があった。というのも、あまりに美しすぎて手に及ばないから。でも、たとえ手に及ばなくとも、その寂しさと美しさとに彩られた世界を眺めるだけで十分満喫できるのだ。それに、読めば読むほど世界は濃くなっていく。こんな作品にはめったに出会えない。

  • 「反橋」 三部作を読む。
    住吉展の物販で購入。
    住吉大社を舞台にした美しい物語。
    反り橋の上で知った秘密、とても印象的な物語です。

  • たまゆらが、好き。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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