青い小さな葡萄 (講談社文芸文庫)

著者 : 遠藤周作
制作 : 上総 英郎 
  • 講談社 (1993年2月4日発売)
3.53
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061962125

作品紹介

1人の日本人留学生が霧の臭いのする町リヨンで遭遇した元ナチの兵士・ドイツ人神学生ハンツの謎めいた履歴。戦争への抵抗の美談に隠れた味方向同士の醜いエゴの争い、息づまる虐殺の歴史、目を覆うばかりの人間本能の崩れ。深い懐疑を抱きつつ、それにも拘らず"神"を求めさ迷う主人公伊原の心を鋭利な文体で追い詰め描く方法的実験。戦後初のフランス留学生だった著者の文学的原点を示す長篇。

青い小さな葡萄 (講談社文芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞をとった「白い人」の翌年、昭和30年に出した本。昭和25年から3年間のフランス留学の体験を基盤としたフィクション。
    解説の題は「悪の遍在を凝視する眼」と。

    すごく大雑把にいうと海と毒薬系列の作品だと思う。それと白い人の。復員兵のドイツ人神学生ハンツが探すスザンナという女性を追ううちに抗独運動の裏面を覗き、肌の色とか国境とかで隔てられたものと、隔てられてないものに突き当たる話。クロスヴスキイが白い人に出てくる神学生みたいだなと思った。

  • ナチと抗独派それぞれの醜さと、日本人に科せられた逃れられない罪と、同じ側でもドイツ人に劣等感を感じる日本人と。なんと複雑なテーマでデビューしてるんだろう、この人。すごいなあ。悪のない善は存在しないのか、でも人は善あるいは神を求めるのだろうか。だとすると、ずいぶん悲しい。スペイン内戦を描いた映画でおばあさんが呟く台詞「palabras, nada mas que palabras」を思い出す。どこの国だろうが、結局は誰も一緒で、誰もが悪を抱えていて、どっちが善だなんてレトリックに過ぎないのかもしれない。

  • 「海と〜」より好きだったりする。悲しくって良い。人の泣く情景に、身を切り裂かれる思いです。痛い痛い。

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