帰らざる夏 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : リ-ビ 英雄 
  • 講談社
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本棚登録 : 338
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (638ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061962354

感想・レビュー・書評

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  • 玉音放送が流れる前後の描写が興味深かったです。昨日まで当たり前であったことが突如として当たり前でなくなり、誰もが、何もかもが変わっている。終戦ってこんなに呆気ないものなのか。体験したことが無いからわからない感覚だけれど、読んでいてとても不思議な気がしました。
    16歳の少年が、それまで信じていたもの全てを否定されたとき…真っ直ぐで純粋故にそうせざるをえなかったという結末なんでしょうか。
    当時の軍国主義やここに出てくる若い将校達の思想、考え方生き方は現代から見ると異常にも思えますが、この本を読むと、それらは作られるべくして作られた、完成されたものなのだと少しだけわかったような気がします。

  • 2012年8月30日読了。
    作者は第二次世界大戦の時、実際に幼年学校にいたそうで、かなり自伝的要素の強い小説だそうです。
    主人公省治(昭和2年に生まれたのでこの名前)は、戦死した親戚に憧れ、親は「どうせ戦争に行くのなら将校になれば生き残れる」という思いがあり、幼年学校に14歳で入りますが、2年の間に一気に戦況は悪化していくことに。気が弱く、軍人らしいところもない省治でしたが、玉音放送の後に周囲が簡単に考えを変えていく姿についていけず、悲劇的な最後を迎えます。
    主人公の内省的な心を繊細に描き、若いころにありがちな死への憧れや、恋愛感情の代償としての同性愛描写はちょっと少女漫画的でもあります。
    後の世から見れば、なぜ戦争が終わってうれしくないのか?とも思ってしまいますが、当時の心境を詳細に描いており、玉音放送の後に「生きろというなら、なぜ玉砕する前に死ぬなと言わなかったのか、おかしい」と叫ぶ生徒たちの姿は、大人のずるさをずばり指摘していました。

  • 省治は百倍の難関を突破し陸軍幼年学校へ入学するが敗戦を迎える。聖戦を信じた心は引裂かれ、大混乱の只中義に殉じ自決することを決意する。


    悲劇としか言い様のないストーリーです。15、6で死に急ぐ彼らが痛々しく、見ていられなかったです。敗戦後、源が亡霊だ、と言ったところが胸に痛かったです。

  • 戦争の只中、陸軍幼年学校という軍国主義に染まった場所で生きている少年達の、苦悩を思い知らされる一冊です。戦争の重く暗い話の中、少年達の笑顔のなんと輝かしいことか!

  • 文庫で1500円もした衝撃は忘れられません。内容は戦時に置ける行動と思想の崇高さがやはり異常で恐ろしい。案外怖く無さそうな死がそこにあってもっと怖い。BLだと思って読むと大変だ。

  • 終戦を目前とする陸軍幼年学校の日々。葛藤する少年たち。

  • 戦時下の特異な青春の苦悩を鮮烈に描いた長編。谷崎潤一郎賞受賞。600ペ−ジにわたるまさに長編だったけど、続きが気になって一日で読めてしまった…。

  • ラストが衝撃的でした。
    はぁぁ。

著者プロフィール

加賀 乙彦(かが おとひこ)
1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務のかたわら、小説の執筆を始める。『フランドルの冬』で芸術選奨文部大臣新人賞、『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、『宣告』で日本文学大賞、『湿原』で大佛次郎賞、自伝的小説『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞、自伝的大河小説『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞している。その他の著書に、『錨のない船』『不幸な国の幸福論』など多数ある。
近年は、殉教者を描く歴史小説『ザビエルとその弟子』、ペトロ岐部の生涯を描いた『殉教者』などを発表。

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