再婚者 弓浦市 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (1994年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (282ページ) / ISBN・EAN: 9784061962828

みんなの感想まとめ

二度の結婚や老境の小説家を描いた短編集は、著者の文学的なテーマである「死、幻視、輪廻」や「女性の秘密」を巧みに盛り込んでいます。物語はどれもスッキリしない結論を持ちながらも、タブーな人間心理を深く掘り...

感想・レビュー・書評

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  • 『再婚者』
    家族を巡る互いの思いの交錯、記憶が生きることにもたらす様が描かれる。『山の音』もそうだが、家族を描いた川端康成の作品は哀しさを湛えつつ、静かに進んでいく。

    『弓浦市』
    実に不思議な設定だが、人の記憶など案外こんなものかもしれないと思わせる。自分が真実だと思っている記憶の方が間違いであることは、いくらでもあるのではないか。浮かび上がるような、卓越した描写力があってこそ。

    『夫のしない』
    世の中にいくらもあることなのだろうけれど、わずか10頁ほどの中に、見事に描くものだ。きっと、順二の記憶、人生に長く残るのだろう。

    『髪は長く』
    妙に心に引っかかる作品。幸せでない中にも、そうでない面はあるはずで、だがそれは、やはり救いとはなり得ない。

  • 川端康成 短編集 「再婚者 弓浦市」

    二度の結婚や老境の小説家 を題材とした短編集。


    結論はどれもスッキリしないが、著者の文学的主題である「死、幻視、輪廻」「女性の秘密」は 随所に盛り込まれ、タブーな人間心理を描いている印象を受ける。


    小説家が主人公の短編が多いが、著者の本心や経験則として読むと とても面白い。設定も面白く、どの物語も 登場人物に2対1の三角関係が成り立っている。


    一人称で読みやすい短編が多いなか、「竹の声桃の花」は 何度読んでも わからなかったので
    *竹の声や桃の花=輪廻した自分
    *松=老境にある現在の自分
    *鷹=輪廻が起こる吉兆 として読んだ。解説本があったら 正解を知りたい



    「夢がつくった小説」は著者の作家としての苦しみや本心を垣間見える〜「頭がすっかりぼけてしまった時に夢がつくる小説は、書く苦しみもないし、人に読まれる憂えもない。その時こそ真の作者の境にはいるかもしれない」


    「再婚者」の名言
    子供達と私達とは、一つの時の河を流れながら、入りまざって流れを濁したり波を立てたりすることなく、子供達と私達との流れが同じ速さでないのを追いも追われもしなかった

  • 短編のひとつひとつの場面がふっと浮かぶ。
    あまり川端康成はそれほど沢山は読んでいないけれど、その小説の中の時代より文体は新しく、また古めいた美しさがある。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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