- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061963337
感想・レビュー・書評
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ゆっくりのんびりマイペースに読める一冊。ザ★木山捷平。
日常を流れていく様なゆるりとした文体で丁寧に描く。人情描写も諄さの無い、染み入る様な優しさに癒されますね。
「鼠ヶ関」「赤い提灯」「弁当」あたりがお気に入りです。
最後の2編はタイトル通り。太宰と井伏鱒二について綴って云います。
井伏鱒二の弟子、と云うと、本当にバラエティ豊かだなあと思います(笑)木山捷平も小沼丹も、太宰好きな知人から勧められて読み始めたのですが、似ている様で味わいが全く違う!太宰も、強いて言えば開高健もまったく違うけれども、井伏門下生と云われてみると、「あぁ、そうかもね」と頷ける不思議。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全体的に企まざるユーモアと何とも云えない、解説に書かれているようなエロティシズムという言葉では言い現せない魅力を登場する女性に感じた。
構えて読まないといけないような作品ではなく、浴衣掛けの作品だが佳品だと思う。
企まざるユーモアというのが端的に現れているのは、例えば下記のような部分である。「箱膳」について、辞書からの引用をして説明をした後、
~これは余計な話だが、むかしの若い女は心中や駆落などする時、親の箱膳に置手紙を入れておいて、親の腰をぬかせる用具にも使った。
というような部分だ。
また、一寸、これは良いなあと思い、一生のうちで一度使ってみたく思った台詞があって、
(ここもかなり可笑しい所なのだが)
山登り用の草履を買ったが登らずに帰る旨を店の人に告げると、店のオバサンが、じゃあ返品したらどうですか?と強く勧める。そこで、
~ぼくの思い通りにさしてください。ぼくも生まれて六十年生きてきましたが、自分の思い通りになったことは滅多にないので、これだけは思い通りにさして下さい。
という下りだ。草履一つでと可笑しく思いつつ、女性を口説く時にちと使ってみたく思った。 -
ひとの描写が生っぽい。