世阿弥―花と幽玄の世界 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061963948

作品紹介・あらすじ

役者・作者・演出家・批評家をも兼ね、利休、芭蕉に比すべき、天才世阿弥が残した十六部集の"言葉の真実の価値"と"秘伝"の意味を、「花伝書」「花の発見」「初心について」「幽玄について」「仮面の芸術」「序破急」等々で心新たに語る。著者の古典文学の素養と幼少から親しんだ能の舞台体験が、世阿弥が語りかける無言の表現・豊潤の世界を、幾世紀の刻を超えて、現代人に鮮やかに説き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読み僕個人が理解したことは次のようなことだった。

    秘すれば華の華とは言い換えて幽玄とは名人玄人熟練者の舞の中に微かに呼び起こされる舞手の稚児時代の姿で芸能の積み重ねの軌跡であると言うこと
    初心忘るるべからず。の初心とは能楽の原点申楽の芸の始まりつまりは物真似の真髄のことであると言うこと
    物真似の真髄とは動き作法をなぞり完璧にトレースすることではなく対象になりきる。極端な言い方をすると乗り移るぐらいの気概を持つと言うこと

    だ。

    因みに書籍としての評価は始め序による緩やから破に至り急にて終焉を迎えるリズムで本作を書き上げた著者の手練手管に感服した。

    流石、白洲正子氏である◎

  • ・古きをたづね新しきを知るをもて人とす
    ・上手の目利かずの心にあはぬ事、是は目利かずの眼の及ばぬ所なれども、得たる上手にて、工夫あらんシテならば、又目利かずの眼にも、面白しと見るやうに能をすべし。
    ・離見の見

  • 19/03/18。

  • 「白洲正子」の「世阿弥」

    白洲正子の思考が辿りづらく、うまく頭に入ってこなかった。
    住む世界が違うと思考もここまで違うのか、とすら思わせる。本人の自覚がない、上からの解釈の押し付けにも近い何か。もう少し彼女の著作を読み進めれば、その奥にあるものを掴めるだろうか。生い立ちや境遇がもたらすものを差っ引いた、彼女が追い求め感じたものを。

    「能」に詳しく、どっぷりと浸かりこんだ人向けに書かれたもののように感じる。まるで知らない初心者そのものの自分にはよそ事のように思えるほど。
    というわけで、「世阿弥ってどんなかなー」くらいの気持ちで読んだらおそらく途中で投げ出される1冊だろう。
    実にハードルが高い。

    ところで白洲正子の時代にも、世阿弥が配流先から帰ってきてたことが当たり前になっていたことに驚いた。なんで流されっぱなしで話が終わる解説が多いんだろう。これも「能」が世間一般に受け入れられ難い、とされているジャンルゆえだろうか。
    ドラマチックだと思うんだけどね、彼の人生も含めて「お能」ってやつは。

  • (2014.06.12読了)(2007.06.17購入)
    副題「花と幽玄の世界」
    世阿弥が書き残し現代に伝えられたものが「花伝書」を含めて十六とか二十一とかあるのだそうで、それを総称して、「世阿弥十六部集」と呼んでいるようです。
    この本は、その「世阿弥十六部集」の内容についての随想集です。
    この本の単行本は『花と幽玄の世界―世阿弥』という表題で、1964年2月に宝文館出版より刊行されています。
    能に興味がある人向けの本だと思います。

    【目次】
    はじめに
    初舞台
    花伝書
    花の発見
    初心について
    物真似
    二曲三体
    幽玄について
    和合の精神
    仮面の芸術
    序破急について
    言葉と風情
    自然居士と東岸居士
    自由な境地
    晩年の姿
    世阿弥略歴
    人と作品 普遍的な人間の幸福への道  水原紫苑
    年譜
    著書目録

    ●能には(60頁)
    「命には終わりあり、能には果てあるべからず」
    ●綜合芸術(127頁)
    お能はひと口に綜合芸術と呼ばれますが、それはドラマと舞踊、シテ方と狂言と囃子方、そういったものの集まりというだけでなく、いくつかの申楽、田楽、呪師、延年、曲舞、白拍子、傀儡など、当時行われたあらゆる芸能の集大成とみていいのです。

    ☆関連図書(既読)
    「世阿弥『風姿花伝』」土屋惠一郎著、NHK出版、2014.01.01
    「秘花」瀬戸内寂聴著、新潮社、2007.05.15
    ☆白洲正子さんの本(既読)
    「巡礼の旅-西国三十三ヵ所-」白洲正子著、淡交新社、1965.03.30
    「能の物語」白洲正子著、講談社文芸文庫、1995.07.10
    「西行」白洲正子著、新潮文庫、1996.06.01
    「遊鬼 わが師わが友」白洲正子著、新潮文庫、1998.07.01
    「いまなぜ青山二郎なのか」白洲正子著、新潮文庫、1999.03.01
    「白洲正子自伝」白洲正子著、新潮文庫、1999.10.01
    「十一面観音巡礼」白洲正子著、新潮社、2002.10.25
    「私の百人一首」白洲正子著、新潮文庫、2005.01.01
    (2014年6月16日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    役者・作者・演出家・批評家をも兼ね、利休、芭蕉に比すべき、天才世阿弥が残した十六部集の“言葉の真実の価値”と“秘伝”の意味を、「花伝書」「花の発見」「初心について」「幽玄について」「仮面の芸術」「序破急」等々で心新たに語る。著者の古典文学の素養と幼少から親しんだ能の舞台体験が、世阿弥が語りかける無言の表現・豊潤の世界を、幾世紀の刻を超えて、現代人に鮮やかに説き明かす。

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著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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