宮本武蔵(二) (吉川英治歴史時代文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 609
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965157

作品紹介・あらすじ

沢庵のあたたかい計らいで、武蔵は剣の修行に専念することを得た。可憐なお通を突き放してまで、彼が求めた剣の道とは…。だが、京畿に剣名高い吉岡一門の腐敗ぶり。大和の宝蔵院で味わった敗北感、剣の王城を自負する柳生の庄で身に沁みた挫折感。武蔵の行く手は厳しさを増す。一方、又八は堕ちてしまい、偶然手に入れた印可目録から、佐々木小次郎を名乗ったりする。

感想・レビュー・書評

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  • 映画化・ドラマ化・漫画化など、様々なかたちで紹介されてきた大人気歴史小説の第二巻。ここでのクライマックスは「般若坂の決闘」と「佐々木小次郎の登場」だろうと思う。書かれた時代を感じさせない読みやすい文体なのが、とても印象的だ。

  • 小次郎の煽り耐性のなさがおもしろい

  • 石周斎の書いた漢詩をみて己の足らなさを直観した武蔵。なかなか会えない人に出会う、そして何か貴重なものを感じ取る。誰もが常にそのような経験ができるとは限らない。武蔵のように、常に意識をよくよく高めておかないと出会えないものだ。

  • 「今から小理屈は早い。剣は理屈じゃない。人生は論議じゃない。やることだ、実践だ。」

    第2巻の武蔵の心情を表すもの。この後も武蔵の心情から成長を追っていきたい。

  • 2017年27冊目。

    佐々木小次郎の登場、又八の再登場。
    物語全体の登場人物が少しずつ整いはじめ、動き出す予感を感じられる二巻だった。
    又八の決心と滑稽さが好きだった。

  • 武蔵は宝蔵院・小柳生の里来訪、その後伊勢へ。佐々木小次郎の登場、武蔵が吉岡道場への決闘を申し込む話の流れ。佐々木小次郎の登場の仕方が粋です。武蔵の武者修行はまだまだ続く。武蔵が色々な事を考え、剣術家として人間としてどのように成長していくのか?。当時の世相がよくわかる文章で、読んでいて非常に面白い。次巻も続けて読んでいきたいと思う。

  • 積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 13/56
    ’16/07/26 了

    二巻になり、物語の登場人物はいよいよ主要所が揃ってくる。
    詳細に描写される吉岡一門の人となり、一度も出会っていないにもかかわらず、武蔵に強烈な印象を与えた柳生石舟斎、こちらもまた出会ってはいないながらも構えを見ただけで武蔵がピリリと緊張を覚える妻を持つ宍戸梅軒。
    そして、何より巌流島の決闘で武蔵と雌雄を争ったことで知られる佐々木小次郎がここで登場する。

    武蔵とお通を討つためにお杉婆と共に宮本村を出た権叔父と又八の再開、権叔父の死、朱美と清十郎の確執、お通と城太郎の再開。

    2巻は兎にも角にも出会いと別れに満ちた話だったと言えるだろう。

    ここから先の展開をある程度知っているにも関わらず先が気になる、良いストーリー展開。

    この宮本武蔵という物語は、きっと各登場人物同士が共に過ごした時間というのは我々が思っている以上に短い。
    にも関わらず、各人物は互いに強く影響を及ぼし合っている。

    「会い難いものは人である。この世は人間が殖えすぎているくらいなものだが、ほんとの人らしい人には実に会い難い。
    武蔵は世間を歩いて痛感するのだった。そういう嘆きをもつたびに、彼の胸には沢庵が思い出された。--あの人間らしい人間を。
    (会い難い人に俺はかつて出会っているのだ。めぐまれた者といわなければならない。そして、その機縁を無にしてはならない)」(P382)

    この辺りの描写は特に好き。
    出会った誰もが影響を受けずにはいられない沢庵。
    現実に存在したら是非会ってみたい人物。


    それにしても、読めば読むほど大河ドラマで米倉涼子がお通さんを演じたのはミスキャストだと思わざるを得ない。

    これは声を大にして言いたい。


    --------------------

    気に入った表現、気になった単語など

    【如才ない】
    気がきいていて、抜かりがない。

    「井の中の蛙という諺があるが、ここにいる都の小せがれどもは、大海の都会に住んでいて、移りゆく時勢を広く見ているくれ
    に、却って、井の中の蛙が誰も知らないうちに涵養していた力の深さや偉大さを少しも考えてみない。中央の勢力と、その盛衰から離れて、深い井泉の底に、何十年も、月を映し、落葉を浮かべ、変哲もない田舎暮らしの芋食い武士と思っているまに、この柳生家という古井戸からは、近世になって、兵法の大祖として石舟斎宗厳を出し、その子には、家康に認められた但馬守宗矩を生み、その兄たちには、勇猛の聞こえ高い五郎左衛門や厳勝などを出し、また孫には、加藤清正に懇望されて肥後へ高禄でよばれて行った麒麟児の兵庫利厳などという「偉大なる蛙」をたくさんに時勢の中へ送っている。」(P74)
    この豊かな表現……
    句点だらけにも関わらずリズム感を損なわない素晴らしい文章。

    「大殿さまには、かようなお頭巾がよかろうと思って縫ってみました。おつむりへお用い遊ばしますか」(P86)
    日本語の美しさと、お通さんの人柄・心根の美しさを感じる

    【鄙稀美人】ひなまれびじん
    鄙(田舎)には稀な美人のこと

    【駕】
    馬が引く車や駕籠(かご)のこと

    【絶倫】
    同じ人間仲間(=倫)から飛び抜けて(=絶)すぐれていること。抜群。

    「そこらに乾いている馬糞(まぐそ)から陽炎が燃えている」(P120)
    美しくない描写なのに表現が美しすぎる。

    【寂寞(たる)】
    もの寂しく静まっている様。

    【書生】
    ①勉学期にある若者
    ②他人の家の世話になり、家事を手伝いながら勉学にいそしむ者
    ③書物を読むばかりで世間知らずの学者

    「短檠(たんけい)の光は時折、烏賊(いか)のような墨を吐き、風の間に、どこかで片言の初蛙(かわず)が鳴く」(P131)

    「ザ、ザ、ザ、ザ--
    と、剣が鳴った。助九郎の刀が神霊を現したように、鏘然(しょうぜん)と、刃金(はがね)の鳴りを発したのである」(P154)

    「武蔵は今、ふしぎに自己を感得した。満身は毛穴がみな地を噴くように熱いのだ。けれど、心頭は氷のように冷たい。
    仏者の言う、紅蓮という語は、こういう実体をいうのではあるまいか。寒冷の極致と、灼熱の極地とは、火でも水でもない、同じものである。それが武蔵の今の五体だった」(P157)

    「剣も人も、大地も空も、そうして氷に化してしまうかと思われた」(P159)

    【残滓】残りかす

    【無明】仏教で心理を理解できない状態。煩悩にとらわれた状態。

    「そう言われると、小次郎も謙譲を示さねばならなくなって」(P374)

  • 般若野における奈良の牢人たちとの格闘、柳生の城内における家人たちとの死闘が描かれる。
    闘争時の筆致は見事だ。
    武蔵の五体は紅蓮の実体となる。すなわち寒冷の極致と灼熱の極致とが、同一のものとなる感覚である。
    又八、お通、佐々木小次郎、吉岡清十郎と名脇役たちの物語も展開していく。
    筆致の見事さと、人物たちの物語の展開、吉川英治は読んでいて、本当に面白い。親鸞も良かったが、この宮本武蔵もまた格別だ。

  • 柳生・佐々木小次郎・宍戸梅軒。

  • 色んな登場人物の色んな顔が見えてきて面白かった。
    2014/8/5

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プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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