三国志(8)(吉川英治歴史時代文庫 40)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1995
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965409

作品紹介・あらすじ

曹真をはじめ多士済々の魏に対して、蜀は、玄徳の子劉禅が暗愚の上、重臣に人を得なかった。蜀の興廃は、ただ孔明の双肩にかかっている。おのが眼の黒いうちに、孔明は魏を叩きたかった。――かくて祁山の戦野は、敵味方50万の大軍で埋まった。孔明、智略の限りを尽くせば、敵将司馬仲達にもまた練達の兵略あり。連戦7年。されど秋風悲し五丈原、孔明は星となって堕ちる。

感想・レビュー・書評

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  • やっと再読完了。夕飯時のみタラタラ読んでたので2年半かかってしまったけどその分感無量といったとこかな。諸葛亮の不利とは分かっていても蜀のために尽くす姿に感動した。それにしても蜀滅亡の後、魏で生きることになった暗愚劉禅の蜀の頃より今の方が幸せと言っているのは驚きを通り越して呆れてしまった。やはり国を牽引するものが愚かだと衰退の一途を辿ってしまうものなのだな。

  • 昨年末から読み始めた吉川英治三国志ようやく読了。
    紆余曲折あるも、孔明の死を以て、ここに完結す。
    読み物としてだけでは無く、全巻通して、多くの示唆を含み、昨今の凡人の書いた自己啓発書、ビジネス書など読むに比しない価値がここあると感じられる。
    孔明曰く「口舌を以ていたずらに民をしかるな。むしろ良風を興して風に倣わせよ。風を興すもの師と吏にあり。吏と師にして善風を示さんか、克己の範を垂れその下に懶惰の民と悪風を見ることなけん」
    終始一貫して、決して相手に奢ることなく、自らをわきまえ、謙虚さを説く。
    現代にも変わらぬ理が随所に散りばめられており、もっと若い時分に読んでおくべきだった。

  • 最終巻は、諸葛孔明の章といえる。
    戦の天才でありながら、平凡であることに誇りをもち、劉備玄徳の願いを実現することだけを考えつづけた真っ直ぐさに感銘を受けた。
    吉川英治の三国志、大作であり時間がかかってしまったが、読むことができてよかった。

  • 小4以来38年ぶりに5週間かけて再読。
    日中戦争の最中1939-1943年に新聞連載されたもの、というのが意外に感じるくらい、当時の「敵国」の英雄譚への愛情溢れる筆致です。(本作品によって少しでも当時の敵国感情が薄らいだのであれば、吉川先生も本望だったんでしょうか。。)
    なんと言っても諸葛亮孔明が格好よく描かれていて、他の人物はどこまでいっても引き立て役な感じですが、主役級以外では、周瑜、陸遜、司馬懿、黄忠、趙雲、姜維、が鮮烈に記憶に残ります。
    赤壁と五丈原には、いつか行ってみたいなあ。

  • およそ三ヶ月かけて読破。孔明の無念さだけが残る、あまりにも寂しい結末。関羽・張飛・趙雲らの様な良将すでに亡く、自らの命を削って劉備の遺詔を守ろうとした姿に心打たれる。孔明がもう十年存命であったら、中国の歴史は変わっていたかもしれない。何にせよ「どこに救いを求めて良いのか」そんな気持ちが漂う読後感だった。

  • 20200327
    三国志8巻という長編を読み切った。宮本武蔵に次ぐ吉川英治作品であり、歴史小説の名著であろう。
    昔は三国志など全く興味が湧かなかったが、横山光輝氏の漫画から入り、劉備・関羽・張飛たちの人柄や、諸葛亮孔明の戦略などにぐいぐい引き込まれていった。
    あらすじを簡単に述べる。始まりは劉関張が義兄弟の契りを結ぶ桃園の儀から。「我生まれた日は違えども死す時は同じ」という忠義の気持ちよさを痛感するシーンから。そして、三顧の礼を経て軍師諸葛亮孔明を陣営に引き入れる。ここからは、孔明と呉の連合vs魏の赤壁の戦いや、司馬懿仲達との知力戦が飽くなく面白い。最後は、孔明は落ち蜀は魏に統合され、晋へと時代は変わる。
    読み物として非常にストーリー性に富んでいて面白い。また、故事や熟語となっているようなエピソードも多く教養にも必須である。何よりも、劉備と周囲のメンバーによる人柄の大事さ、つまり、忠義、礼節、感謝と言った人間が生み出す関係の素晴らしさについて学ぶことができる。

    //MEMO//
    吉川英治、三国志の最終巻。
    孔明が尽きる時まで見届ける。

  • 2回目の再読。歴史小説として純粋に面白く、2週間で全巻読破。改めて、三国志の主役は劉備ではなく、孔明(と曹操)であることを認識。

    ・「三国志」は晋の時代に陳寿により記された魏、呉、蜀の国別の史書の総称。基本は史実をまとめた本だが、多少の虚構あり。その後、明の時代に、「三国志」やその他の伝承本等をもとに歴史物語として作られたのが羅貫中の「三国志演義」。こちらは7割が事実で3割が虚構とも言われている。「吉川三国志」は「三国志演義」をもとに、日本人向けに一部脚色も加えながら書かれたもの。

  • ホントは2021年の課題図書にしていましたが、結局全8巻読了まで2年ちょいかかりました。
    8巻は諸葛亮孔明と司馬懿仲達の最後の戦い。でも、結局孔明の死で吉川三国志は幕を閉じる。って、一応、その後も書いてあるけど、英雄たちが築いた三国も次の代であっさり滅びてしまうのね。ああ無常。
    三国志って、玄徳と関羽、張飛の義兄弟か曹操、孫権の三国鼎立の皇帝たちが主役だと思っていたけれど、軍師孔明が主役だったのかなと改めて。
    もっと所縁の地を巡りたかったけど、時間切れになるのがちょっと残念。

  • いえいややっぱりおもろいです、何度読んでも。
    こういうエンターテインメント、やっぱり皆好きなんでしょう、当方もご多分に漏れずですけれども。
    解説で曹操と孔明の話、と整理されていましたが、その通りかと。でも個人的には、悪役的要素も兼ね備えている曹操が一番面白いキャラかと。
    またいつか再読するんやろうなぁ。

  • 初めて読んだのが高校1年の時で、
    もう30年も前なのか。

    私の趣味はこの三国志から始まりました。
    とにかく三国志に関する書を探して読みました。
    そこから楚漢・春秋戦国と時代を遡って、
    宮城谷昌光さんの「重耳」に出会い決定打。
    今も興味が尽ることなく楽しい趣味になってます。
    今はインターネットですぐに調べられますけど、
    当時は本を探す事が楽しみの1つでした。
    今でも本を探すが楽しくて楽しくて、
    ほんと良い趣味見つけたのかもしれませんね。

    この三国志は元は三国志演義です。
    演義も完訳等色々と読みました。
    しかし吉川三国志と言われるように、
    他の三国志演義とやっぱり違うのです。
    引き込まれるのです。
    何度読んでも。

    また必ず読みます。
    絶対。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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