- Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061965461
作品紹介・あらすじ
将門は著者の最も食指を動かした人物の1人である。反逆者としての歴史の刻印を除きたい気持もあったが、純粋で虚飾のない原始人の血を将門にみたからだ。都にあっては貴族に愚弄され、故郷(くに)では大叔父国香に父の遺領を掠められ、将門はやり場のない怒りを周囲に爆発させる。それは天慶の乱に発展し、都人を震撼させる。富士はまだ火を噴き、武蔵野は原野そのままの時代だった。
感想・レビュー・書評
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朱雀天皇の下で藤原忠平が権力を握っていた時に承平天慶の乱が起こる。地方では律令制度が崩壊し、武士が台頭したことを象徴する事件であった。東国では平将門、瀬戸内海では藤原純友が反乱を起こした。兄の時平の時に冤罪で左遷された菅原道真が怨霊となり、弟の忠平の時に滅ぼされた平将門も怨霊になった。朝廷から見れば承平天慶の乱自体が天変地異と同じく、道真の怨霊の祟りになる。
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時代に振り回されて、新皇にまつりあげられて滅ぼされた気の毒な人
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第一次讀關於平將門的故事,一切對我都很新鮮。將門父親過世之後,叔公叔叔們意圖侵占他父親的財產,把他丟到京去,在藤原忠平門下打雜,還認識了純友和八坂不死人。回到關東之後奮發經營,好不容易回復聲勢,擊敗要暗算他的源護和叔父們,然而叔公國香的兒子平直盛依然在朝廷對其不利,意圖遊說藤原秀鄉。但直到被叔父偷襲桔梗和兒子被殺之後,他從溫和容易相信人的個性變得很暴戾;而在不死人的策畫之下,想讓將門和叛亂的純友連成一氣,因此不斷擴大事端,將門就被推著走,甚至還被推上新皇之位。最後在與秀鄉等人的戰事中,意外頭部中箭落馬而亡。
一開始所描寫出的易信他人的將門,讓人也不禁感到緊張,不知道他會把他的子民帶到哪去,後來果然妻小被偷襲,導致個性開始暴走。不過那之後作者的筆力似乎不再那麼鋒利,尤其將門最終起兵,稱帝,戰死等等一連串的描寫都有氣無力,匆匆帶過的感覺,寫得並不出色,以吉川這位大家,讓我覺得有點意外。前面有點爛好人,讀起來有點痛苦(覺得這樣他手下要怎麼跟著他),但後面的快轉又很虛弱,完全和書中所欲描述外表威猛至極的感覺大相逕庭,甚感可惜。只是作者提到將門那種心虛失去自信想逃避,靠戰鬥彌補但那種空虛不安感還是越來越強烈的感覺,這倒是寫得不錯,可惜並未深掘,導致這個作品反而不上不下,甚為可惜。 -
由井正雪の乱と似てる気がした。
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戦闘があっけなく進んでいきすぎな感じがした
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日本史において貴族の時代が終わり、武士の時代が開幕するきっかけとなった事件が平将門の乱だ。関東地方の一豪族、平将門はをあっという間に周囲を征服、中央から派遣されていた役人たちを追い出し、その勢いで自身はもう一人の天皇と称して、京へ攻め上ろうとする。結局、京の指示を受けた武士たちが将門軍を打ち負かし、将門の乱自体は短期間で終わるが、それ以後、武士階級が注目されるようになる。
こうした歴史を知っていると、平将門とは粗暴で親分肌、革命家というイメージだが、吉川英治の描く将門は全く異なる。
将門は若いころ、京へ留学したことで、都や貴族社会にあこがれを持ち、貴族には頭が上がらない。他人の意見に流されやすく、騙されやすく、激情家で女に弱い。なんとも女々しく、素朴な田舎者だ。この人が乱を起こせるのかと心配になる。
そんな将門のケツを叩くのが、不死人という架空の人物。将門の乱とほぼ同時に瀬戸内海で乱を起こした藤原純友の命を受けて、将門をたきつける。世間知らずの田舎者である将門が、影の主人公ともいえる不死人に乗せられて、過激化していくというのがこの小説の面白さ。 -
関西方面が政治の中心であった平安時代中期に、関東に、こんなすごい人物がいた事に感動です。
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怨霊や恨みといったネガティブな言葉がどうしても付きまとう将門だが、どういう人物だったのかが知りたくなり読んでみた。
今までのそういった強烈な印象とは逆に、とても素直で正直な人物であり、父の遺した土地を守り民を守りながら平和に暮らしたいとだけ願う様な素朴な人物だった。
ただ、素直で正直者ゆえに周囲の思惑に乗せられ、将門自身が望む事とは悉く正反対の事ばかり起こしてしまい、結果的にそれが将門の運命を決定付けてしまった。
中央も地方も正直者が馬鹿を見る時代、将門には生きにくい時代だったのだろうと想像する。