私本太平記(七) (吉川英治歴史時代文庫)

著者 :
  • 講談社
3.78
  • (22)
  • (30)
  • (34)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 309
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965690

作品紹介・あらすじ

一夜にして人間の評価が変るのが乱世の慣い。尊氏が“筑紫隠れ”の朝、新田義貞は、凱旋将軍として、堂上の歓呼をあびていた。左近衛ノ中将の栄誉、それのみでなく、後醍醐の寵姫・勾当の内侍を賜ったのだ。それにひきかえ、貴顕に生命乞いする佐々木道誉の鵺(ぬえ)ぶり。また、朝敵たる汚名は逃れたものの、尾羽打ち枯らした尊氏。しかし彼は、北九州に勢力を養い、反攻を意図する。


一夜にして人間の評価が変るのが乱世の慣い。尊氏が「筑紫隠れ」の朝、新田義貞は凱旋将軍として、堂上の歓呼をあびていた。――尾羽打ち枯らした尊氏であったが、北九州に勢力を養い、密かに反攻を企てる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 尊氏と義貞の攻防。尊氏は破れ筑紫落ち。九州で再起を図り再び入洛を目指す。東進し決戦は兵庫の地へ。正成、新田を廃し足利を用いるよう後醍醐に諫奏。

  • 尊氏、筑紫隠れもすぐに体制を立て直し、近畿に巻き返す。迎え撃つは新田義貞と楠木正成だが、愚の義貞と賢の正成が両極端に描かれる。そして、本当は尊氏と戦いたくない正成と息子との有名な桜井の別れ。実家に割と近い頃なので、知ってはいたが、詳しくは分かってなかったので、分かってよかった。なるほどねえ・・・

  •  楠木正成、湊川の戦い。
     これに尽きます。

  • 足利尊氏は九州に上陸後、菊池党らを破り、勢力を立て直す。ついに、足利尊氏も、持明院党の光厳上皇から院宣を賜わり、自らも官軍となり、西国の諸将を集め、大軍にて西上していく。
    一方、京都では、後醍醐帝を中心とした公卿らが、我が世の春を謳歌しており、新田義貞も、勾当内侍を帝から賜っていた。
    楠木正成は、足利尊氏との和睦を帝に進言するも聞き入れられず、圧倒的兵力差のなか、死を決意して、戦いに臨む。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    兵庫における決戦に敗れた尊氏は戦力を整えるために北九州に一時撤退、一方で決戦に勝利した朝廷側は尊氏に買ったことで油断したのか、急激に動きが鈍くなったように思う。
    また、この巻は楠木正成に関する内容が多かったように思う。勝利直後の発言としては不適切と判断されたのだろうが、どこかで決着を付ける必要があるから間違ってないと思う。
    それにしても尊氏は不思議な人物だ。尊氏は積極的に動かないし、決断もかなりギリギリまで状況を確認してから行っている。武士が見限ってしまいそうな要素が多くあるように思うのに時がたつに連れ、勢力を拡大している。
    最後に戦乱が連続し、地方毎でも戦いが発生している状況は後の戦国時代を彷彿とさせるな。戦国時代とことなるのは大きく2つの勢力に別れているということだ、どちらかと言えば関ヶ原の直前のような感じだろうか。

  • 尊氏、九州から反攻。
    僕にとっては、ここが太平記の最大の魅力の一つ。どうして尊氏が時勢の主役になれたのか。それも一年もかからずに。それだけ建武の新政は世に受け入れられなかったということなんだろうけど。それに気づかない後醍醐ってどうなのかなぁ。王として自らの理想のためには民をどれほど苦しめてもかまわないというわけだ。高邁な理想はいいけど、残念ながらそれを具現化する政治・行政能力は皆無だったんだよね。王様ってのはそういうものなんだけどさ。

  • さぁ、次でラストだ!!

  • (1991.07.26読了)(1991.06.29購入)
    内容紹介 amazon
    一夜にして人間の評価が変るのが乱世の慣い尊氏が「筑紫隠れ」の朝,新田義貞は凱旋将軍として,堂上の歓呼をあびていた.――尾羽打ち枯らした尊氏であったが,北九州に勢力を養い,密かに反攻を企てる.

    ☆関連図書(既読)
    「太平記の謎」邦光史郎著、光文社、1990.12.20
    「私本 太平記(一)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
    「私本 太平記(二)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
    「私本 太平記(三)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
    「私本 太平記(四)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
    「私本 太平記(五)」吉川英治著、講談社、1990.04.11
    「私本 太平記(六)」吉川英治著、講談社、1990.04.11

  • 本作品の主人公は紛れもなく足利尊氏だろう。そしてライバルとして楠木正成が据えられている。まあ、同じ源氏出身同士で仲違いをした新田義貞を合わせれば二人か。いや、後醍醐天皇も入れれば三人か。ならば護良親王も合わせれば四人…と、まあ主人公を引き立てせるためには幾人かのライバルを登場させるのが小説のやり方。話を戻そう、楠木正成。彼はどの時代人においても評価が高く、戦前などは彼が超ベビーフェイスで、尊氏がヒールという扱いだった。それは勿論、後醍醐天皇を敵に回した尊氏と、支え続けた正成という図式だからである。本作品は戦後描かれた作品であり、そんな図式にはとらわれず、この二人のキャラクターを魅力たっぷりに描いている。そこが画期的な作品なのだろう。そのライバル同士が、憎み合うことをせず、お互いに認め合うシーンは読んでいて清々しいものがあった。尊氏が一色右馬介を使いにやらせて正成を味方に引き入れようとするシーン、正成が後醍醐天皇に「義貞を切って尊氏と和睦を進めるべき」と迫るシーン…。本作品上ではこのライバル二人は一度しか会ったことがないのだが、これぞ宿命といった感じがした。
    一度は敗れながらも、九州に落ち、再び盛り返す尊氏。戦力不足ながらもそれを迎え撃たんとする正成。いよいよ次巻、クライマックスを迎える。

  • (全巻合わせた感想)
    文章が読みやすく、状況描写が上手でその場の雰囲気や気持ちが手に取るように分かり、その文章の巧みさに感嘆した。内容は主人公尊氏及び周辺の人々に何らの魅力を見出せなかったので、少しつまらなかった。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉川英治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×