腐敗性物質 (講談社文芸文庫)

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本棚登録 : 258
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061975637

作品紹介・あらすじ

《一篇の詩が生れるためには、/われわれは殺さなければならない/多くのものを殺さなければならない/多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ》(「四千の日と夜」)現代文明への鋭い危機意識を23の詩に結晶化させて戦後の出発を告げた第一詩集『四千の日と夜』完全収録。『言葉のない世界』『奴隷の歓び』表題詩「腐敗性物質」他戦後詩を代表する詩人田村隆一の文庫版自撰詩集。

感想・レビュー・書評

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  • 「言葉のない世界」は衝撃だった。書き写して一時期携帯していたこともあった。

  • 古書店に立ち寄って開けたページが「遠い国」でした。そして、続く「細い線」が堪らなく好きです。
    心に炎のような女が住んでる。彼女がいつも見張りに来る。

  • 一篇の詩を生むためには、

    われわれはいとしいものを殺さなければならない

    これは死者を甦らせるただひとつの道であり、

    われわれはその道を行かなければならない

    —「四千の日と夜」


    いわゆる「戦後詩」のなかで初めてまともに読んだのが田村隆一の詩。

    田村隆一の名前は一応知っていたのだけれど、“有名な詩人”というほどの認識で詩の言葉は読んではいなかった。
    以前観た園子温監督『恋の罪』劇中で『言葉のない世界』のなかの「帰途」を繰り返し朗読していて、そのフレーズが脳内にこびりついて離れなかったの思い出し、文庫なのに高い講談社文芸文庫を手にした。
    そしてさらに衝撃をうけたのが上に引用した詩だった。

    詩人の言葉に対して感じることはその都度、読む毎に違うのだけれど、田村隆一の詩を読んだときに浮かび、感じた言葉は「切迫」。
    もちろん詩人の紡ぎ出す詩の1行1行にはどれも緊張感があるし、その語の並べ方や選び方も同様なのだけれど、浅い詩体験のなかでも田村隆一の詩は、読んでいると刃の先端で鼻先を触れられているような気がした。
    いくつかの詩に繰り返し出てくる何やら不吉なモチーフ、決然とした語調がその要因の1つなのだと思う。

    もうこの本は通しで4度か5度くらい読んでいるけれども、まだまだ読み足りないし、読みきった気もしない。
    「田村隆一全集を本棚に並べてぇな〜」という教養主義的欲望がわき起こってしまうのだけれど、この文庫本1冊でさえ手に余っているので、全集など(経済的にも)まだまだだな…と日々思っているのであった。

  • 読了。四千日と腐敗性物質を含む、田村隆一は割と多作だったと思うが、この一冊で事足りる。四千日については、ネットで全編読めるため、買う必要は何処にもなかった。ここ何年か、三ヶ月に一度は目を通すほど読んだものであるため、本当に買う必要はなかった。今更感想を書くのもおかしな感じがする。特に沈める寺が好き。

  • うーむ…やっぱり詩はよく分からん…。
    ただ、全体を貫く灰色のトーンが印象的。

  • 再読。田村隆一本人による自撰詩集。第一詩集『四千の日と夜』から後期の『奴隷の歓び』までを時系列に沿って収録。巻頭の「腐刻画」がぶっとびのかっこよさでその衝撃をずっと引き摺りながら最後まで読んでしまうという読み方は前回と変わらず。このスタイリッシュにクリティカルな詩人が年を重ねるごとに角が取れてゆくプロセスにぼんやりと感じたことは、平出隆が適格に解説してくれているので敢えて言うことがない。批判的精神をもって鋭い言葉で斬りつけてくるにも拘らず、そこに生じる痛みを強く受け取ることができないのはたぶん相性の問題。


    完全に根拠のない私の思い込みだけれど、激しく文明を嘆いていてもこの人はきっと生きるのが上手だったような気がする。怜悧な印象。

  • 大正12年生まれの詩人だということを読んでいるあいだ全く意識しなかった。最近の若い人が書いたのだよと言われても違和感のない、普遍的で研ぎ澄まされた言葉のセンス。そこはかとない頽廃感や、なんだろう、廃墟に佇んでいるかのような感覚は、それが戦後詩だからだと言われればそうかもと思うけれど、むしろ現代的ですらある気がする。そういえば三浦しをんの小説『私が語りはじめた彼は』というタイトルは「腐刻画」の一節だったんだっけ。どこを切り取っても鮮やか。

  • 好きな詩がたくさんある。ドキリとするフレーズや言葉がたくさんある。
    無頼だな、過激だな、残酷だな、ダンディだな、と思ったり。そのくせ優しいんだな、と思ったり。

  •  孤独、生と死と性、不条理、貧困、無慈悲その他を宝石のような言葉を物語のように繋いだ飛ぶ感覚の詩を収録している詩集。

  • 例えば谷川俊太郎は自在に空を飛ぶような浮遊感がある。田村隆一はその逆で、地に足を着け、時には重力に押し潰されそうな苦しさを覚える。
    しかしその容赦ない言葉たちが、私たちに真実の一端を見せてくれる。

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著者プロフィール

田村隆一

一九二三(大正十二)年東京生まれ。詩人。明治大学文芸科卒業。第二次大戦後、鮎川信夫らと「荒地」を創刊。戦後詩の旗手として活躍。詩集『言葉のない世界』で高村光太郎賞、『詩集1946~1976』で無限賞、『奴隷の歓び』で読売文学賞、『ハミングバード』で現代詩人賞を受賞。ほかに『四千の日と夜』など。推理小説の紹介・翻訳でも知られる。一九九八(平成十)年没。

「2019年 『詩人の旅 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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