夜ふけと梅の花・山椒魚 (講談社文芸文庫)

著者 :
制作 : 秋山 駿 
  • 講談社
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本棚登録 : 98
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061975910

作品紹介・あらすじ

「ああ、寒いほど独りぼっちだ!」内心の深い想いを岩屋に潜む小動物に托した短篇「山椒魚」。新興芸術派叢書の一冊として、昭和五年四月に刊行された『夜ふけと梅の花』収録十五篇に、同人誌『世紀』掲載の「山椒魚」の原型でもあった著者の処女作「幽閉」を併録。さまざまな文学的潮流が拮抗した昭和初年代の雰囲気を鮮やかに刻印し、著者の文学的出発をも告げた画期的作品群。

感想・レビュー・書評

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  • 定本 夜ふけと梅の花 (単行本)のほうを読みました。
    表紙は井伏氏が描いた、地図。

    どの話も最初から最後まで貫き通される主人公のだめだめさが、
    なんだか気持ちいいというか、文体との不思議な調和があって、
    「よし、この主人公を反面教師にして頑張ろう」なんて気には塵ほどもならない不思議な心地よさがありました。

    「一匹の蜜蜂」で、
    肥え太って働かなくなったぐうたら蜜蜂を見て自分に重ね、
    蜜蜂と自分を重ねることを周りにちょっと怒られてる場面があって、
    でも「山椒魚」しかり、暗喩するということにすごく敏感な人なんやなぁと。

    あとがきを読むと、同じ話でも何度か書き直して少しずつ違うみたいなので、他のバージョンも読んでみたいな。

  • ぱっとしない自分に鬱々としている若者の話がメインの短編集。若者の話だけれど友人関係は出てこない。朽助が素敵。

  • 若い井伏。言わずと知れた山椒魚、初めて読んだ井伏作品でもある。その原型となる幽閉も収録。僕は年老いた井伏の方に親しみが湧く。これは僕が年老いたせいなのか。あと朽助が登場する作品が好き。あの方言の雰囲気がたまらなくよい。

  • 図書館で。
    短編集はさっと読めるのはいいのだけれども前の作品の余韻を引きずっている所にまるで新しいお話が始まるのですっと次の作品に入りこんでいけなくてなんだか物凄い勿体ないなあなんて思いながら読みました。
    時間があればぜひ一作づつ丁寧に読みたいもんだなぁ。

    そして山椒魚は2パターンあるとは知りませんでした。確かに削った方がすっきりする。感傷的ではない。でもその感傷的な所に惹かれるような気もする。

  • 井伏鱒二の読みやすい部類の初期短編集。
    概ね駄目な若者の視点で描かれるモノばかりですが、
    学生の時分読んだ時より共感部分が多いと云う事は、やはり…(笑)
    山椒魚のラスト16行端折られてる話は知りませんでした。
    この文庫本で初めて其処まで読めた訳ですが、
    最初に読んだ時の「?」部分が「!」になりました。
    これ、合った方が大分腑に落ちるのですが、
    敢えて端折る処がナンセンス文学の美徳なんでしょうか。難しいです。

  • この本に収録されている作品のほとんどの主人公が今ならばニートと揶揄されてもしょうがないような駄目人間で愛おしい。それだからこそそんな中にぽつんとある文学的な青春風景を描いた「休憩時間」や脱力系のオチが待っている「うちあわせ」が引き立つ。語彙や言い回しは流石に古くささを感じるけど文体としてはいまでも十分読めるし通じる。

  • 比喩、暗喩、メタファー?やっぱりこんなんが好き。

  • なんて可愛い文章。

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著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『太宰治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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