迷路のなかで (講談社文芸文庫)

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本棚登録 : 156
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976023

作品紹介・あらすじ

おなじ外観の家が続く雪に塗りこめられた街の迷路をさまよう敗残兵の姿と、「ライフェンヘルスの敗戦」と題された絵の場面とが交錯し、物語は複雑な軌跡を描きながら展開回帰をくり返す。兵士は銃撃をうけ、居合わせた医者に介抱されながら死ぬが、意表をつく結末が控えている。執拗なまでに幾何学的な描写によって独特の世界を構築し、ヌーボー・ロマンの旗手となったロブ=グリエの代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 雪のふりしきる街路、友人の遺品を持って誰かと待ち合わせしている兵士、彼を案内する少年・・・一応の表面的なあらすじを辿ることも不可能ではないけれど、基本的にはタイトルどおり、ひたすら不毛な迷路をぐるぐるさせられてしまった感のある作品。一応迷路に出口はある(オチらしきものはつく)けれど、出口だと思ったら入口に戻ってただけだった、のかもしれず・・・。

    思い出したのは金井美恵子の「柔らかい土を踏んで」。ただあちらは、コラージュ的な印象が強かったのに対し、こちらは螺旋構造の印象。あれさっきここ通らなかったけ?と思うのだけれど微妙に違う、何度も同じ場面が出てくるようで物語は一応進んでいる。少し消しては新しい情報を書き足して・・・という、なんだろう、三歩進んで二歩下がるみたいな(苦笑)

    絵の描写と現実がごっちゃになっていったり、ドアを開けると違う場所に出たり悪夢感も強いのだけれど、実は小説の「書き手」(主人公の兵士ではなく)の試行錯誤の過程までをそのまま文章にして垂れ流しているだけなのかもしれない。

    奇妙で難解だけど、好きか嫌いかといえば好きでした。

  • 本当に迷路のなかを彷徨っているような酩酊感。
    ヌーヴォー・ロマンの醍醐味ってこの酩酊感だよな〜……それとも、これ、風邪薬のせい?w

  • この作品をはじめて読んだときの衝撃はいまも鮮明だ。

    例えば電気スタンドとガラス製灰皿の置かれたテーブルの様子や壁紙の模様を微に入り細に入り描写する場面があるのだが、「こんな方法があったのか」と驚かずにはいられない。

    ヌーヴォー・ロマンを代表する名作。

  • 初めて読み通すことができたロブ=グリエ作品。
    「書かれたもの」はそれ以上でも以下でもないのに、執拗なまでの視覚描写により、虚構が現実に敗北を喫したように感じる。小説を読んでいるより絵画を観ている感覚に近い。それは一枚の絵に何層も塗り重ねられた絵で、上下で接した絵は互いに部分的に侵食しあい、最下層の絵が突如として最上層に現れる場合もあるような。
    街を彷徨する敗残兵の前には雪が降っている。迷っているのは彼なのか私なのか。足跡を埋めるように降りしきる雪は私の頭の中に入ってきた言葉も白く塗り潰していった。
    《2014.09.02》

  •  1959年、アラン・ロブ=グリエ著。似たような風景が続く雪に塗りこめれた街を、箱を抱えた敗残兵が彷徨う。ストーリーは何度も反復回帰を繰り返し、いつの間にか視点が絵画の中に入り込んだりする。
     幻想的で、非常に独特な小説だった。
     まず、特徴的なのが場面の反復だ。同じ街の風景、同じ廊下、同じ部屋が何度も現れて、しかしその細部が微妙に変わっており、そのことにより少しずつストーリーが動き、若干メタ的なラストに落ちていく。
     だが、その程度の小説なら腐るほどある気がする。本小説の個性は、あまりに詳細な幾何学的描写だろう。線や円だとか、グラスの置かれていた跡だとか、普通の小説なら省くであろう、些細な物体への注視(主人公の精神状態が影響しているのだろう、と推測できるので読んでいて奇を衒っているという印象はない)。そのことにより、人物と物体が対等の立場に置かれ、小説全体が一枚の静物画のように見えてくる。
     雪や敗残兵といった退廃的なモチーフもあいまって、寂しげな静けさが読後に残った。

  • 平岡先生の訳の素晴らしさ。解説も面白い。ヌーヴォー・ロマンは退屈だが、ロブ=グリエに関しては、特級のサスペンス小説だと思えば楽しく読める。

  • 読みきるのが苦痛だった。ひたすら迷路。出口のない迷路。ぐるんぐるんぐるんぐるん。それが作戦なのだろうけれども、頭が痛くなる。

  • 何故21世紀の小説はヌーヴォーロマンの成果も無視して、伝統芸能みたくわかりやすく、人気のある手法でテクストを量産しているのかといらついていた。いざ、ヌーヴォーロマンの本家を読んでみたが、面白くない。小説読みの玄人にとっては面白いかもしれないが、一般の読者にとってはとっつきにくい。現代小説がヌーヴォーロマンを意識的に排除している原因がわかった気がした。

    ただ、ヌーヴォーロマンの手法上の成果は、現代小説も取り入れている。ヌーヴォーロマンを経過した後で、どう小説を書くのか。小説の伝統芸能化に抵抗するために、どうしていくのか。問い詰める必要のある問題だ。

  • クロード・シモン『路面電車』を読んだ時には
    「絵みたい」と思ったけど、これは本当に絵の話だった。
    いろいろな境界や意識や記憶や眩暈や動くものと動かないものや
    そんなものについて考えさせられる。
    考え”させられる”わけではないけど、考えていた。楽しい。

    すごくたくさんの紙を4mくらい上からばらばらって落としたら
    こんな小説になるのかもしれない。
    そういう風に見えるけど、本当は落とした紙の配置、
    カラーリングやそれぞれの見え方が決められて書かれているのかな。すごい。
    断片的では決してないのに、流れていくような景色は出てこない。

  • 読むのに痛みを伴う(っていうか辛い)。でもその痛みが心地よい。小説の中の戦争の描写を違う形ではあるがある種リアルに追体験することが出来る、と言えるか?

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