砂丘が動くように (講談社文芸文庫 ひA 2)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976153

感想・レビュー・書評

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  • “砂粒一つ一つがUFO”“キノコで縁取られたミステリーサークル”etc...散りばめられたモチーフは非常に面白いが、あまりにも内容と物語が感覚的で、自分はうまく没入出来なかった。

  • 散在するモチーフを回収しきれていないがそんなことどうでもいい、と思わせるほど日野独自の感性が際立つ。自然に抗う人工の力に死滅しゆく砂丘、得体の知れぬ蠢く黒い小さな生物にじわじわ蝕まれゆく地方都市、腐った鉄骨、廃物に群れるカラス。向う側に朧に見える私達の未来、凹凸のない不毛な平地。女装の美青年が焼き付けるブラウン管の中の光景、送るメッセージと象徴。盲目の女性が感知するのはまた別の質感、新しく異質な何かを胚胎するオブジェ。超能力の少年が砂丘を動かす、次世代へと。サブリミナルがショート!目覚めた後の静寂。変革。

  • 無意識が、深層心理にではなく、外界にあるとするならばどうなるか、という思考実験として読んだ。

  • 同じ作者の「夢の島」という小説は
    エコロジーと表裏一体の終末論にむしろ期待を寄せるといった
    そんな風にもとれる結末を見せたのであったが
    この「砂丘が動くように」では
    さらに進んで人類の革新にまで思いを馳せている

    世界というのは盆栽のようなものであり
    人間はそこに巣くうアリジゴク、または
    それに取って食われる蟻のような存在であるが
    その盆栽を世話するのが新人類である
    それは自然と文明の調和によって一つの
    美的世界を実現させるイノセントな人類であり
    そのイノセントさ故に彼らは
    自然界に対して恐怖のイメージを投影することなく向かい合ってゆける

    ただ
    それって単に若いうちから枯れてるだけじゃないのかという気はするし
    また、一歩踏み外すとオウム的価値観の肯定に繋がりかねない危うさもある
    発表された時期を考えれば仕方のない部分もあるが
    それでもやはり踏み込みが甘いと言っておくべきかと思った

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。幼少期を朝鮮で過ごす。新聞記者ののち作家活動に入る。主な著書に、『抱擁』『夢を走る』『夢の島』『砂丘が動くように』『Living Zero』『台風の眼』など。2002年逝去。

「2015年 『日野啓三/開高健』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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