私の上に降る雪は―わが子中原中也を語る (講談社文芸文庫)

制作 : 村上護 
  • 講談社
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本棚登録 : 33
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976207

作品紹介・あらすじ

『私はあの子のことを、よくわかってやろうとしませんでした。…中也が詩を作るのに反対しながら、私は一方でお茶にばかり熱中していたんです。』明治四十年、医者の長男として山口県湯田温泉に生まれ、生涯仕事に就くことなく三十歳で夭逝した詩人の姿を九十四歳になった母が悔恨と愛惜の情を込めて話す。中也を知る必須の資料であり、美しい感動を伝える書。

感想・レビュー・書評

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  • ―2003年4月―

  • 母から借りた本は、講談社文庫だった。
    古本屋で買った百円の値札があったが、ブクログには載っていないので、近刊のこちらで代理登録しておく。

    とにかく記憶力が素晴らしいなと思った。
    中原中也の母の、自身や周囲の人の来し方と、中也たち兄弟の記録。
    それにしても、男の子六人兄弟とは賑やか。そりゃあ喧嘩も多いだろうね。
    養父母、実母が同居して、夫は忙しい開業医、自分は育児に集中という環境で、けっこう厳しく育ててきたらしい。
    この母親が一家の実質的な中心人物だったようで、本当にお疲れ様、と声をかけたくなる。

    この母親自身も学問が好きな性質で、そういう育ちをしているため、それなりの英才教育を中也にしてきたことは、間違いなく彼の文才や自信を育てたようにみえる。
    一方で、親である自分たちが中也の詩作をよく思わなかったこと、世間ずれせずに育ててきたことで、中也が歪んだ気持ちを持ったらしい様子をあとで悔いていらした。

    それにしても、この明治〜大正に、横浜、金沢、山口、広島、京都、東京とあちこちポンポンと行き来しているように見えるが、かなり時間がかかったことと思う。
    中国にも滞在していた時期もあり、幼児も連れて、かなり心労があったと思う。

    ・一生、中也には仕送りをしていました。本当に大変だった。
    ・親から見れば、中也のわがままなところ、幼いところに腹がたった。
    ・すでに実家が無かった中也の妻も、あとでうちから嫁に出してやった。
    など、ここも本当にお疲れ様、です。
    あのおなじみのランボーふうの格好も、田舎では心底嫌がられて、本人もそれを自覚していた様子には笑った。
    若者の代弁者で、永遠の少年ぽい中也は、やはり身内からみれば困ったやつだったんだなあ。

    幼い中也がすぐ下の弟を亡くして、毎日のように一人で墓参していた話、丈夫に見えても六人兄弟のうち、上の三人が早く亡くなったこと、中也自身の子も二人とも早世し、そのことで大きな影を落としたこと、いずれもこの時代ならではですが、今の子供達が健康に育ちやすいことに心から感謝しつつ、この本を読みました。

  • 講談社文庫

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