鳳仙花 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社 (1998年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784061976252

作品紹介・あらすじ

小田原の魚屋の息子に生まれたが、文学への夢が捨てきれず家督を弟に譲って上京するも、小説家として一本立ち出来ずに郷里に逃げ帰る。そんな前半生と売れない老残の作家の娼婦との交遊が、地べたを這うような低い視点からの一種の諧謔味をおびた川崎文学をつくりだす。本書は「鳳仙花」「乾いた河」などの代表作のほかに中山義秀との交友を描いた「忍び草」など7篇収録。

みんなの感想まとめ

人生の厳しさや孤独を描いた私小説が、読者の心に深い共鳴を呼び起こします。主人公は小田原の魚屋の息子として生まれ、文学への夢を追い上京しますが、成功を収めることができず、再び故郷に戻るという波乱の人生を...

感想・レビュー・書評

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  • 小田原の魚屋の息子として生まれたが文学への夢を捨てきれず、家督を弟に譲って上京するも小説家として成功できずに郷里に戻る男の前半生と、売れない老残の作家と娼婦との交遊。時に、前に進むような生き生きとした日々では無く、こうした日常を放蕩するかの如くやり過ごす諧謔的な私小説を読みたくなる。西村賢太だったか、つげ義春だったか、忘れてしまったが、いずれかを経由して川崎長太郎に行き着いた。

    こうした私小説は私にとって、どんな風にしても生きていられる、という拠り所のようなものかもしれない。川崎の作品はしばしば「地べたを這うような低い視点」を帯びた文学と評される。

    本作は、川崎長太郎が通った私娼窟で馴染みになった女性との交流や、売春取締法の施行による私娼窟「抹香町」の衰退、女性が結核で療養所に入院する運びとなる様子など、社会の底辺で生きる人々の生活と感情をリアルに描く。もう、下半身がだめで・・というような老体の素顔が恥ずかしげもなく書かれる所に、小説家として人生を生々しく晒していく覚悟を感じる。

    もしかすると、書く事でしか生きることの確からしさを保てなかったのかもしれない。こうした文学世界には、奇妙なカタルシスがある。

  • つげから流れて川長初読。私小説には良いイマアジュを持ち合わせてはいなかったが思うところあり楽しめた。予想では何を読んでもこれ以上これ以下にならず倦む可能性ありだがしばらく読むつもり。Sとこいつの話をしたかった。

  • つげ義春の本に出てきた作家で、作品が気になって一冊買ったらはまった。

    なんかもう、死んじゃうんじゃないか、どこかその辺の道で、倒れてそのまま息絶えるんじゃないかとはらはらしながら読む。私小説なので、山も谷もない。人生の、「どうにもうまくいかないけれど、流れてはいく」、そんな小説。

    どこかいつも死が潜んでいて、何かうすら寒さを覚える。若い時に読んでも分からない、首を傾げてちょっとため息をつくような。「私」の不甲斐なさと、それでも何のかんのと歩いていく、その背中に、人が生きるということの輪郭が見えた気がした。

  • 2016/8/7購入

  • もう一人の自分と我慢比べをしていて、永遠に勝ち負けの無い生き方をしているように感じました。
    這いつくばりながら生きていると思いながら読みつ進むうちに、主人公の感覚は漂うような生き方をしているのかなと思え、当時の社会を主人公というフィルターを通して見せてもらえている感じがしました。

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著者プロフィール

川崎長太郎(1901.11.26~1985.11.6) 小説家。神奈川県生まれ。小田原中学を中退して、家業の魚商につく傍ら、同郷の民衆詩人福田正夫に師事、左翼的作品を発表。1920年頃より上京、帰郷を繰り返す。繰り返す。23年、萩原恭次郎、、岡本潤らと「赤と黒」創刊。震災後アナーキズム運動から離れ、25年、徳田秋声の推挽で「無題」を発表、文壇デビュー作となる。私小説家を目指すが、不遇な時代が続く。38年、永住の覚悟で帰郷、実家の物置小屋に棲み、創作に専念。54年、娼婦たちとの関わりを描いた『抹香町』で長太郎ブームが起きる。62年、結婚。私小説一筋の生涯を貫いた。著書に『裸木』『浮草』『女のいる自画像』『女のいる暦』『忍び草』『幾歳月』『淡雪』『夕映え』『老残/死に近く 川崎長太郎老境小説集』『泡/裸木 川崎長太郎花街小説集』など多数。

「2015年 『ひかげの宿/山桜 川崎長太郎「抹香町」小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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