業苦・崖の下 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 92
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976306

作品紹介・あらすじ

嘉村磯多は山口県の農家に生まれ、短躯色黒のために劣等感に悩まされた。初恋の相手とは両親の反対で挫折し、結ばれた別の女性とは婚前の不品行を疑い、妻子を捨てて愛人小川ちとせと出奔上京、その体験を「業苦」に書いた。小説の本領は自分の事を書く"私小説"にあるとの当時の思潮を愚直に実践し、自己暴露的な私小説二十余篇を残し昭和八年三十七歳で早逝した特異な私小説作家の秀作群。

感想・レビュー・書評

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  • 嘉村礒多は一つ前にレビューを書いた葛西善蔵の元で口述筆記をしていた人でもある(その時のエピソードも所収されている)。
    そしてその芸風たるや葛西善蔵に通ずるダメ人間の自己暴露的私小説なのだ。
    葛西善蔵よりも自分の家族をよりネタにしているような気がしたので、そういう意味ではタチの悪さというものも感じる。
    やたら家族内で喧嘩しているというイメージが残った(まあ作者本人の了見の狭さが多いに関係していると思うのだけど)。
    こと妻子に対する愛憎たるや、男の自分から見ても醜悪なものを感じた。
    しかしながら妻子を捨ててメカケと暮らすあたり、まんま葛西善蔵ではないか(それにしても典型的外見コンプレックスだったのによくもメカケなど作れたものだと思う)。
    その芸風といい私生活といい、いい師弟関係にも見える。
    ただ葛西善蔵よりもこの嘉村礒多が芸として劣っているのはやはり同じネタを何度も小説にしているというところだ。
    ネタの使い回しが悪いとは言わないが、流石に後半になってくると読み飽きてくる。
    またその芸風も似ている先輩・葛西善蔵のようにがっちりとハマったとまではいかなかったので、そういう意味で星を一つ落とさざるを得ないか。

  • 東京ダダからの流れ

  • 初読。名門中学を放擲し、地主の家と妻子を捨て女と東京に出奔、極貧と病苦の苦海のなかで早世した男。劣等感の塊でありながら高慢で暴力的、身体性や地方性などの後進性を保持しているが故にどぎついコントラストを負う作風は、苛烈な私小説である。藤村や花袋の自然主義運動が人生の醜悪面を披瀝することを好み、嘉村もその系譜の作家だが、時代は逆効果として志賀直哉や武者小路実篤のような人生の美しい面を題材とする白樺派が文壇で隆盛を極めてくる。だが、そうした男性作家が動揺や下心なく女性心理を描けてしまう完璧さは、何処か自己陶酔型の小説のように読者を鼻白ませるのも確かで、この壮大な一連の自傷とも言える小説はそうした完璧さへの反として輝く。西村賢太好きにはマストだ。

  • 2012/1/16購入
    2013/4/7読了

  • 8/13

  • 『業苦』読書メモ
    1.過去の回想
    過去の回想が入るが、そこに現在の没落した生活に対する同情をひこうとしている
    <自らの選択であったにも関わらず>→甘え?

    2.処女信仰
    処女へのこだわり 母性愛への渇望なら、なぜ処女。(参考:澁澤龍彦「少女コレクション序説」)
    処女にみるのはその無垢さ、純粋さ→そこにあるのは理想化された母

    過去を拭いきれていない主人公

  • 超陰気な私小説。車谷はまだ気取ってるということが良くわかる。

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