シングル・セル (講談社文芸文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 51
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976757

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  • 作者にしては珍しく、男性が主人公の物語。
    孤独な大学院生の椎葉幹央が山の宿で竹沢稜子と出会い、幹央のアパートで稜子とともに暮らすようになる。幹央にも何故稜子がアパートに居ついてしまったのかがわからない。結局、最後には稜子はいなくってしまう。幹央は就職し、次第に稜子の面影を探すこともなくなる、というところで物語は終わる。
    2人の出会いの場面で、シングル・セル(孤細胞)の話題から、人間も大勢でいると、無性に一人になりたくなることがあり、命はそのようにできていると会話が進む。シングル的な存在である人間が、他者との関わりにおいて、シングルの状態を維持することは容易ではない。稜子にとって、椎名はシングル的な状態でいることを許してくれる存在であったのではないかと感じた。
    著者のシングル性についての考察が書かれた『シングル・ノート』も読み応えがありました。

  • 泉鏡花文学賞。
    親が早死にしてしまったため、生活のために自分の意思を持てないまま育った大学院生。大学からもついに振り落とされ、なにかに気がついたような気がつかないような。
    不幸な「雰囲気」だった主人公の男が、後半に登場した変な女と絡んでから、何を独白しても孤独の言い訳三昧に読めてしまい、醒めてしまった。感じ取れた佇まいは「孤独」ではなく「ついていけない置いてきぼり」感であった。

  • 家族であっても、恋人であっても、そこにあるのは絶対なる「孤」である。「孤」の集団が団体となり、民族となる。私たちは恐るべき「孤」を知っている。独りで悲しくなってくる。絶望を知る。まるで雨の中、泣き叫んでいる子猫のように。「孤」を知る者こそが、「人」をして生きていける絶対条件なのだが、やはり無意識の中で否定するところがある。だからこそ、人は群れるのだ。この小説は、氷の如く冷えた「孤」を十二分に表現しつくした小説だ。文字ひとつひとつの切哀や、むなしくなるもの。

  • 現代文の問題で出てきて、内容がおもしろそうだったんで読んだ、はず。

  • 外に開かず、内面を掘り下げるような、少々胸が苦しくなる本
    女は女という武器を持っていると改めて感じる

  • 学生時代、通りがかった古書店でタイトル買い。ズバリ当たり。以後ハマる。

  • 若い頃、増田みず子にはまるきっかけになった作品。何度繰り返し読んだことか。我が家にあるのは今は無き福武書店版だが、講談社文芸文庫に引き継がれたようで一安心、だったのだが、今時点でアマゾンは在庫切れのようだ。若い世代には、ある種普遍的に訴える物があると思うのだが。

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著者プロフィール

1948年、東京に生まれる。東京農工大学農学部卒業。77年、「死後の関係」が新潮新人賞の候補となり、その後「個室の鍵」「桜寮」「ふたつの春」が連続して芥川賞候補(その後も合わせて計6回)となるなどして、小説家としてデビュー。85年、『自由時間』(新潮社)で野間文芸新人賞、86年、『シングル・セル』(福武書店)で泉鏡花賞、92年、『夢虫』(講談社)で芸術選奨文部大臣新人賞、2001年、『月見夜』(講談社)で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞する。著書として他に、『自殺志願』『降水確率』(以上、福武書店)、『鬼の木』『火夜』(以上、新潮社)、『夜のロボット』『水鏡』(以上、講談社)、『禁止空間』『風草』(以上、河出書房新社)ほか多数。

「2020年 『小説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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