寵児 (講談社文芸文庫)

著者 : 津島佑子
  • 講談社 (2000年2月10日発売)
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  • レビュー :6
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061976986

作品紹介

ピアノ教室の講師をする女は、離婚して娘と暮している。娘は受験を口実に伯母の家に下宿して母親から離れようとしている。体調の変化から、ある日女は妊娠を確信する。戸惑う女が男たちとの過去を振返り自立を決意した時、妊娠は想像だと診断され、深い衝撃を受ける。自立する女の孤独な日常と危うい精神の深淵を"想像妊娠"を背景に鮮やかに描く傑作長篇小説。女流文学賞受賞。

寵児 (講談社文芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 言葉に装飾を施さず、話を進めるのが早い作家だと思う。その意味では読みやすい。

  • 2017.6月分

    夫と離婚し、孤独な立場の主人公の高子。娘の夏野子は、高子の姉の裕福な家に下宿する。1人で暮らすようになった高子はある時、自分が妊娠していることに気づく。その妊娠をきっかけに今までの男性との関係を思い出して物語が進んでいく。子供の父親が誰か特定できないほどの自分の止まらぬ性欲と、愛を求める一面と、そして夏野子を育てる母としての一面が交差して、高子を苦しめていく。
    お腹はどんどん大きくなっていき、高子は1人で中絶することを決断する。この中絶という決断に至るまでの高子の心境は、読んでいて辛くなる。

    しかし中絶と決断したものの、医者から胎児はいない。想像妊娠していると告げられる。高子は自分の愛して欲しかった人の子供を授かりたいという気持ちのあまり、妊娠したと勘違いし、どんどん太っていたようだ。
    絶望と再び孤独の闇に落とされる高子だが、1人で強く生きていく姿が最後に描かれている。

  • 想像妊娠、なんていうからもっと奇っ怪な妖しい話かと思いきや、ずっと現実的だったのがよかった。美しい夢の書き出しに騙された。笑
    高子は、ありのまま、を愛している。ありのまま。石原千秋のいうところの本能と成長への反抗。その根底には死んだダウン症の兄の生き方がある。飾らないこと。偽らないこと。剥き出しにするしかないこと。理性を持ちようのない状態、それを高子は性の奔放さでしか追随できなかった。それが高子の美徳だった。
    男無しじゃ生きられないようにみえて、人一倍自立していて…それが一人娘夏野子への愛着として映り、お腹の子を私生児にするという決意に落ちる。面白いくらい共感してしまった。私も、自分の子は、自分だけの子だと思う瞬間がある。私が私だけの力で宿して生んで育てる。母親はやっぱり病かもしれない。
    作者自身のことを大いに反映しているのを後書きで知り、それまた面白く。いい小説だった。

  • 孤独って、本人の気づかない内に、暗い闇へと引きずり込むんやろうなぁ…。

  • 太宰の文才は太田治子ではなく津島佑子に継がれたのね、が第一印象。

    高子の奔放で独立心の強い生き方は、津島佑子の父親の愛人達の姿ではないのか。それを描いた津島佑子の心境はどんなものだったのか、父が自殺した後のこの作者とその母の生き方はどんなものだったのかとても興味を覚える。

  •  読了。

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