夏服を着た女たち (講談社文芸文庫)

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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982017

作品紹介・あらすじ

人情の機微、男と女のきわどい心理の綾を洗練された筆致で浮き彫りにした名手アーウィン・ショーの短篇からニューヨークを舞台にした秀作十篇を常盤新平が精選。

感想・レビュー・書評

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  •  短編の名手アーウィン・ショーの作品集。大都会ニューヨークに関連した話を中心に編まれており、多くの作品で男女関係が主題となっている。本書に収録されている作品は30〜40年代を描いた小説ばかりだが、ショーが浮き彫りにする“アメリカ”は時代の古さを感じさせない普遍性を帯びており、作中で描写された都会の風景は80年代と錯覚しそうになるほどだ(読書中、頭の中でビリー・ジョエルの歌が流れ続けていた)。それだけショーの観察眼が人間心理や社会の本質を的確に捉えているということだろう。また、自由奔放に生きようとする女性たちの喜悲劇を様々な男性ーー夫や恋人、元恋人が愛情深い視線で見つめる様は、ユーモラスでありながらもある種の切なさを感じさせる。
     特に印象に残ったのは以下の三本。

    『80ヤード独走』
     わずか25ページほどの短編だが、ある男の栄光と凋落を描く中で、無邪気な男女の愛の始まりとすれ違い、そして終焉を見事に切り取った傑作。ノスタルジックな余韻を響かせるラストシーンも絶妙。

    『ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ』
     アメリカの牧歌的な風景を描いた美しい物語。
     勇気を出して戦いを決意するローレンス、そして弟を誇りに思うエディの絆に胸が熱くなる。農夫と息子も単なる悪役ではなく、じんわりと胸に染みる暖かさがあった。

    『愁いを含んで、ほのかに甘く』
     日本では映画『Wの悲劇』の原案として知られる本作。もちろん細部は異なるものの、ストーリーの核となる事件はあまり変わらない。映画では主演を務めた薬師丸ひろ子が素晴らしかったが、ショーの短編では「語り」の力が遺憾なく発揮されている。ミステリーでありながら、同時にショービズという波に翻弄される女の儚さを描いた良作。

  • 「80ヤード独走」と「愁いを含んで、ほのかに甘く」を知れてほんとうによかった。Aくんが絶対に好きにちがいない。こんど必ず読んでもらう。訳者もいいのだろうけど、かなり訳しやすい文体の作家な気がしている。言語間のニュアンスの差異みたいなのをあまり被らないというか、ストーリーが描かれているからという気がした。ストーリーはそういう意味でつよい。
    ニューヨークを舞台にした都会的小説という帯に惹かれて買ってみたが、読んでいるうちに東京の景色だったらまた感慨深くなるのだろうと思った。この作品が書かれた80年代の東京というよりは、2000年代から今にかけての東京に近い雰囲気。

  •  常盤さんがお亡くなりになったので、初めて読んでみました。同じ短編でも、ピート・ハミルよりも読み手に考えさせる部分が多く、たまに何のことが分からないときがあります。しかし分かったときは、グッときます。

  • 持っているのは新装版。Lifeのブックフェアで鈴木謙介さんがオススメにあげていたので買いました。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。明治大学文学部卒。作家、翻訳家。女子美術大学教授。はじめ批評家として文壇に登場し、演出、翻訳、小説、評伝と多彩な活動をする。代表作『ルクレツィア・ボルジア』『メディチ家の人びと』『メディチ家の滅亡』(以上、評伝)『おお季節よ城よ』(小説)など多数。今年から、選集「中田耕治コレレクション」(青弓社)が出版される。翻訳家としては、アイラ・レヴィン『死の接吻』『スライヴァー』、クライヴ・パーカー『ダムネーション・ゲーム』、アナイス・ニン『北回帰線からの手紙』(深田甫と共訳)ほか多数。

「1992年 『結婚まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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