愛の砂漠 (講談社文芸文庫)

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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982055

作品紹介・あらすじ

高名な医師クーレージュとその十八歳になる息子が同時に、町の有力者の愛人になっている美しい未亡人マリア・クロスを愛してしまう-地方都市ボルドーを舞台に、男と女を決定的に隔てる「愛の砂漠」、絶対的に孤立した人間の心の暗部をえぐり出した傑作。遠藤周作が深い共感を覚えつつ翻訳したこの作品は1925年のアカデミー小説大賞を受賞した。

感想・レビュー・書評

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  • うまい遠藤周作訳に惹かれ『テレーズ・デスケルウ』に続けて読みました。
    今度は男性側の生きる悩みと言えます。しかも父親と息子を対比して描いています。

    ひとりの美しく魅力的な女性アンナ・クロス、怠惰が好きで倦怠感の漂う雰囲気、若くして夫に先立たれ、お金持ちの囲われ者になりますが、亡夫の忘れ形見の幼い息子を亡くしうつ状態になります。

    息子の病気を診てくれ、気落ちしたアンナの精神的支えになった医者が父親ポール・クーレージュ。彼女に恋心を情熱を感じてしまうのですが謹厳実直な彼ゆえアンナには気づいてもらえぬのです。否、そんな気はアンナにはありません。彼はもだえ苦しみます。

    一方、息子レイモン・クーレージュは少年の例で父親とギクシャクな関係。偶然電車の中で見かけたアンナに惹かれて恋心を抱くのですが、アンナも気恥ずかしげな少年のレイモンに恋心を、両思いです。ところが、悪ぶった彼は囲い者であるアンナをみくびり、征服してやろうなど行動して失敗します。

    というふうにアンナをめぐり父親・息子それぞれの行き違い、親子のすれ違い、索漠として人生はうまくいかぬ描写がずらーっと続くのであります。

    だいたいアンナという女性がいけないのですが(笑)・・・年数を経て3人は再会、もうアンナは囲い者ではなくそのお金持ちと結婚してます。それを知った親子は・・・最後は哀愁が漂いますね。

    あらすじを言うとなんだか菊池寛を彷彿させますが、その心理描写はさすがに奥深くうなづかせ考えさせられます。それに描写が洗練されているのです。

    モーリアックという作家は20世紀文学に、日本の文学界に大いに影響を与えたのでありましょう。たとえカトリック作家はという日本にはなじみにない思想としても、人間的根源は変わりませんから。

  • ボルドー、フランスなどを舞台とした作品です。

  • 遠藤周作の愛読したフランス小説。心の揺れ動きを描き出した秀逸な作品。たしかカトリック系作家なのだけど、押し付けがましいところは微塵も無い。

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