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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784061982079
感想・レビュー・書評
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とんでもない
すごい、と噂に聞いてゐたが、その通りだった。
子供の頃の無自覚の性的体験が、大人になった和田の筆から語られる。
ここには想像力の及びつかないところがある。当時は本当の羞恥を知らないから、想像の低俗とは違って、生々しさの猥褻さが際立つ。
たとへば、相手が肩に××をかけるのが快感とか、死んだ親友の母親とねんごろになるとかである。
冒頭は明治のハレー彗星から始まり、大正の札幌でスペイン風邪にかかる描写もある。
だが、それは無垢な猥褻さであって、大人のよこしまな猥雑ではない。
しかし、年をへてだんだんと性を自覚すると、慕ぶやうになった。
これは和田当人しかしえない体験であった。ごく幼少の、思春期まもない性的体験の貴重な自伝は、筆さばきも冗長を嫌って達者だった。私小説の醍醐味を久びさに味はった。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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