私のソーニャ/風祭―八木義徳名作選 (講談社文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982239

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  • 八木義徳二冊目にして、これだという作品に出会えた。芥川賞受賞作の「劉廣福」。小説とは人を描くものだとして、この作品はまさにそんな小説の代表作であった。ただ気持ちよく読み終えられる、そんな小説が好きだ。読んでから友達の名前を覚えたときのように劉廣福の名前をしきりに反芻した。

    ちょうどその日、学校に向かう電車の車中で読み終わり、その高揚とした気持ちを抱えながら先生に会った。先生に「『劉廣福』読みました」と話すと、おお、と嬉しそうな顔をしてくれた。八木義徳は先生の好きな作家の一人で、その影響を受けて僕も手に取った。
    会話を交わして先生の講義の時間となり、しばらくして昼休みになった。受付で学生対応をしているときに今度は背後から先生の声が聞こえた。机の上に置いていた文庫本をひょいと手に取る。
    「200円だったの、安くない?」と驚いた声。
    「書き込みがあるからと本屋の店員さんに言われました」「書き込み?」
    ぱらぱらと後ろの方まで紙を捲っていくと、解説文のあたりから線や言葉が目立ってくる。
    「ほんとうだ。でもこんなに状態良いのにな」
    安くて、良い本を買えた。先生の言葉に思わずえっへんという気持ちになる。
    「この、雪の夜の記憶って作品、修士論文のときに使ったんだよ」
    目次に書かれた作品の名前に指を差し、教えてくれる。それは劉廣福の二つ後の作品だった。この本を読んでいく楽しみが胸の内でさらにふくらむ。
    そして数日かけて読了した。解説文の書き込みは単なる落書きではなく、とても意味のある線や言葉だとも分かり、改めて200円の良い買い物だとおもった。僕の心は初夏の良い風を浴びたときのように明るくなった。

  • ソーニャはやっぱりプロスティチュート(娼婦)だった。

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