死の床に横たわりて (講談社文芸文庫)

  • 講談社
3.73
  • (9)
  • (9)
  • (12)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 129
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982413

作品紹介・あらすじ

「生きてるのは、つまりは、長いあいだじっと死んでいれるようにと準備する為じゃ」という父の言葉にとりつかれたアディは、夫に、自分の遺体を父の眠るジェファソンまで運んで埋めるように遺言を残して死ぬ。家族六人は洪水で橋が流失した川を棺桶と共に渡る。十五人の五十九回にわたる内的独白からなるこの小説は、南部の貧農一家を立体的に描き出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フォークナー作品の中では、比較的読み易い作品ではないだろうか。というのも、プロット自体はわりとシンプルなので。

    南部の貧しい一家(バンドレン家)の母親アディは、生前に「故郷ジェファソン(彼女の父親が眠る地)」に自身が死んだら埋葬して欲しいと家族に伝える。彼女が死んで、遺言に従い家族が彼女の棺をジェファソンに運び、そこへ埋葬する。

    『死の床に横たわりて』は、その過程において家族それぞれが抱えるさまざまな葛藤(状況)を「モノローグ」という形式で描いている。

    本作は、『八月の光』や『乾燥の九月』にあるような殺人、私刑といった突飛な出来事ではなく、ひとりの人間の病死を物語の軸に据えて、人間の生(性)を描く。故に、本作は扇情的とは言い難い。だが、ひとりの死は、身近な人間にとっては大きな出来事であることは言うまでもない。そして、それを経験するとき、人間の心境の移り変わりを「独白」で克明に記録することで、その出来事による人生の影響をフォークナーは本作で主題のひとつとしている。

    フォークナー入門という点でもお勧めの作品であることは間違いない。

  • 3.72/118
    『「生きてるのは、つまりは、長いあいだじっと死んでいれるようにと準備する為じゃ」という父の言葉にとりつかれたアディは、夫に、自分の遺体を父の眠るジェファソンまで運んで埋めるように遺言を残して死ぬ。家族6人は洪水で橋が流失した川を棺桶と共に渡る。15人の59回にわたる内的独白から成るこの小説は、南部の貧農一家を立体的に描き出す。』(「講談社BOOK倶楽部」サイトより)

    原書名:『As I Lay Dying』
    著者:ウィリアム・フォークナー (William Faulkner)
    訳者:佐伯 彰一
    出版社 : ‎講談社
    文庫 ‏: ‎304ページ

    メモ:
    ・英語で書かれた小説ベスト100(The Guardian)「the 100 best novels written in english」
    ・20世紀の小説ベスト100(Modern Library )「100 Best Novels - Modern Library」
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
    ・オプラ ブッククラブ『Oprah's Book Club』

  • 序盤は、「あれ?『響きと怒り』に似てるな…」って思うんです。でも、『響きと怒り』ほど意識の流れを書いてる感じもないし、なんとなく読み進めていると、中盤から、もっというとアディの章から俄然すごくなってきます。なんかもう、あの章がほんとすごい。そもそもよく考えれば、死体が腐っても憑かれたように運び続けるというのが既にすごい設定なんですけど。
    解釈して言葉にするのが難しいので、イメージを無理やり言葉にすると、フォークナー作品って、登場人物たちの肉体が業火みたいなもので燃えてる感じがします。で、その焔によって感覚と意識がパッと浮かび上がり、肉体が土に還るのとともに無になる。ジェファソンの土はそういう肉と血でできていて、皆そこから生まれ、そこに還っていくんです。
    ヨクナパトーファのサーガを読んだのはこれが3作目ですが、時間をかけても全部読まなきゃいけない気がしています。

  • 「やっぱり乾いたフォークナーよねー」なんつってたのに読み始めたら台風接近で連日雨じゃあないのっ。
    嗚呼私って雨女、だった・・・
    入学式も卒業式も遠足も入試も引越しも雨だったわ・・・まーこれもある意味、「水難」の話だし。いっか。

  • フォークナーらしい物語だ。混沌として血生臭い。だからこそ、人の決して心地よいだけではない、肌の温度が感じられる。母を弔うための過酷な旅は、家族らをその路面が体を揺らし消耗させるように、胸に仕舞ったはずの思いさえも揺さぶって、正気ではいられなくさせる。救済も無く、それまでの劇的な事件からは想像も出来なかったほど呆気なく訪れた物語の終わりには、思わず笑い出しそうになった。いや、これこそが生だと思う。この唐突さと、残酷さと、可笑しさが。これらを受け入れることが生きる術であると思う。

  • 死にかけの母親の側で息子が棺桶をつくっている。母親の故郷に遺体を運ぶのが使命と父親の虚栄心も虚しく、一家の旅は前途多難。橋は壊れてるしラバは流されるし、愚かな子どもたちの行動がだんだんとシニカルに展開していき、もしかしてこれはブラックコメディなのか? 実は母親が一番賢かった。お父ちゃんひどい。

  • 日本語と英語、両方読みました。
    この難解な本を日本語に翻訳された方は凄いと思いましたが、登場人物のしゃべり方が日本の田舎っぺ?みたいなしゃべり方にしてあったので、元のイメージに会いませんでした。
    できれば英語で読んだ方が良いと思います。

    ストーリーは本当に良かったです。始めは何が起こっているのかよく意味がわかりませんでした。でも読み進めていくとともに視界が晴れていくような感じでだんだん話に引き込まれました。話の書き方は部分部分で見たら無茶苦茶だけど全体で見たらまとまっている…そんなすごい本です。登場人物もやけにリアルで人間味があって気持ち悪いくらいでした。オススメ!

  • <亡くなった母親の亡骸を遺志に従い、遠く離れたジェファーソンへ埋めに行く一家。
     しかしそれぞれがおのおの、ジェファーソンへ行く別の目的を持っていて・・・>

    著:ウィリアム・フォークナー


    ヨクナパトーファサーガですがあまりつながりはないかも。
    母の遺骸を埋めに行く一家の珍道中です。

    家族のメンバーそれぞれが別の理由を持ってジェファーソンを目指していて、
    早く埋めるべき亡骸は腐臭を放ち、
    それを守ろうとしたり、「まっとうな」行動をしたりする息子達は様々な苦難にあう。

    皮肉とブラックジョークにあふれたフォークナー独特の中篇。

    こういうのもフォークナーは書いていたのか、という一作。
    でも私が望んでいるフォークナーとは違うのでこの点数に。

    でも傑作のひとつ。

  • アンスがひどい奴でどうしようもない。周りの人間もどこかおかしいが、アンスは飛び抜けている。フォークナーはどうしようもない人間をユーモアをまじえて描くのが上手い。

  • なかなか読み進められず、しかも半分くらい進むまでは話もよく分からなかった。
    でも、最後の4分の3くらいで一気に物語が進むというか分かってきて、ラストはかなり衝撃的というか脱力というか。
    もう一度じっくり読んでみたい。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1897年アメリカ生まれ。南部の架空の町を舞台にした作品を多く生み出す。著書に『八月の光』『響きと怒り』『アブサロム、アブサロム!』など多数。1950年ノーベル文学賞受賞。1962年没。

「2022年 『ポータブル・フォークナー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウィリアム・フォークナーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウラジーミル ナ...
ジェイムズ・ジョ...
フォークナー
ドストエフスキー
ガブリエル ガル...
ウィリアム・ゴー...
ガブリエル・ガル...
ジェイムズ ジョ...
ドストエフスキー
サン=テグジュペ...
リチャード ブロ...
ポール・オースタ...
フアン・ルルフォ
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×