戦後短篇小説再発見10 表現の冒険 (講談社文芸文庫)

制作 : 講談社文芸文庫 
  • 講談社
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本棚登録 : 118
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982703

作品紹介・あらすじ

既成の通念を乗り越えようとする果敢な試み-言葉の生命力を生かして、新しい文学表現の可能性を追求した十二篇。

感想・レビュー・書評

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  • アンソロジーですがこの巻は収録されているのがほとんど好きな作家ばかりなのと、藤枝静男「一家団欒」が読みたくて手に取りました。好きな作家ばかり・・・となると既読の作品も多かったのですが、未読のものでもなぜこの作家の数ある名作短編からこれを?というチョイスの謎な作品はいくつかあり(高橋源一郎「連続テレビ小説ドラえもん」は悪ふざけがすぎるし、石川淳「アルプスの少女」も何故あえてこれを選ぶのか?、笙野頼子「虚空人魚」もどちらかというと代表作とは言い難い。もっと面白い短編あるのに!)ちょっと不満。

    全く読んだことのない作家は小川信夫だけだったんですが、「馬」はなかなか面白かったです。半村良、筒井康隆といった基本SF畑の作家の作品も、こんな日常的なことが感覚や描き方ですっかりホラーに!という斬新さがあって面白かった。安部公房「棒」は中学校の国語の教科書で読んだのが最初で、当時箸が転がっておかしい年頃だったもので「先生、ひげが…」がツボにはまり笑い転げた記憶が。

    お目当ての藤枝静男「一家団欒」は期待を裏切らない面白さでした。吉田知子「お供え」は小川洋子選のアンソロジーで読んでいたく気に入っていたので、今回もラストを飾るに相応しかったと思います。

    ※収録作品
    内田百けん「ゆうべの雲」/石川淳「アルプスの少女」/稲垣足穂「澄江堂河童談義」/小川信夫「馬」/安部公房「棒」/藤枝静男「一家団欒」/半村良「箪笥」/筒井康隆「遠い座敷」/澁澤龍彦「ダイダロス」/高橋源一郎「連続テレビ小説ドラえもん」/笙野頼子「虚空人魚」/吉田知子「お供え」

  • ゆうべの雲(内田百閒)◆アルプスの少女(石川淳)◆澄江堂河童談義(稲垣足穂)◆馬(小島信夫)◆棒(安部公房)◆一家団欒(藤枝静男)◆箪笥(半村良)◆遠い座敷(筒井康隆)◆ダイダロス(澁澤龍彦)◆連続テレビ小説ドラえもん(高橋源一郎)◆虚空人魚(笙野頼子)◆お供え(吉田知子)
    解説:清水良典

  • 第10巻は『表現の冒険』。収録作家は内田百けん、稲垣足穂、安部公房、澁澤龍彦、笙野頼子など。
    この巻のテーマは『何を書くか』ではなく、『如何に書くか』であると思う。いずれも趣向を凝らした短篇で、10冊中、読んでいて一番楽しめた。
    11巻~18巻も復刊して貰えないだろうか……。

  • 笙野頼子「虚空人魚」
    吉田知子「お供え」のみ。

    「虚空人魚」
    架空の生物史観をつらつら述べることばは、図鑑や理科の教科書のよう。描写はせずに、ただただ架空の世界を説明・構築するためのことばで、そこに喚起はない。
    しかし、「割れた石はアメーバの仕業」というような、日常生活にありそうでないお話を挟むことで、なんとなく空恐ろしい感覚がにじみ始めたところでオカルト的想像はヒートアップ、まさに滅びの瞬間そこのみ、読み手に近しくて生々しい描写が現れる一文といったら!
    しかし、スケールが大きすぎて、結局のところ肌で飲み込めないし、語り手も投げてしまう。ここで、ほっとさせられる心地。
    構成と文体がきっちり計算されて機能している短篇。

    「お供え」
    日常にふと入った亀裂が、徐徐にカフカ的悪夢へと進展する。
    なだらかに不穏へ突っ込んでいく感覚が、結末で鳥肌たつよなおぞましい恐怖に変わる。この滑らかさに舌を巻く。
    会話の方言にちーっとばかし馴染みがあると思ったら、しぞーかの人だっただよ。

  • 小島信夫「馬」など、不条理・不思議・悪夢のような短編が12編入っている。味わい深い。おすすめ!

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著者プロフィール

円地文子(1905.10.2~1986.11.14)小説家、劇作家。東京生まれ。国語学者の家に生まれ、幼時より古典に親しむ。「ひもじい月日」で女流文学者賞。著書に『妖』『女坂』(野間文芸賞)『なまみこ物語』(女流文学賞)『朱を奪う者』(谷崎潤一郎賞)『遊魂』(日本文学大賞)『円地文子訳 源氏物語』(全10巻)がある。
佐多稲子(1904.6.1~1998.10.12)小説家。長崎県生まれ。26年、同人誌「驢馬」の同人(中野重治、窪川鶴次郎、堀辰雄など)と出会う。28年、「キャラメル工場から」を発表。プロレタリア作家として出発する。著書に『くれなゐ』『女の宿』(女流文学賞)『樹影』(野間文芸賞)『時に佇つ』(川端康成文学賞)『夏の栞-中野重治をおくる-』(毎日芸術賞)など。
宇野千代(1897.11.28~1996.6.10) 小説家。1921年、『時事新報』の懸賞小説に「脂粉の顔」が当選。36年、ファッション雑誌「スタイル」創刊。着物デザイナーなど実業家としても活躍。著書に『おはん』、『色ざんげ』、『或る一人の女の話』、『幸福』(女流文学賞)、『雨の音』(菊池寛賞)など。

「2014年 『個人全集月報集 円地文子文庫・円地文子全集 佐多稲子全集 宇野千代全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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