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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784061982710
みんなの感想まとめ
戦争をテーマにした作品群は、過酷な体験をユーモアを交えながら描き出し、独特の視点を提供しています。特に「白い田圃」や「蟻の自由」、そして「プレオー8の夜明け」では、戦場や収容所での生々しい経験が描かれ...
感想・レビュー・書評
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高麗雄(こまお)。昭和17年、22歳で召集され、フィリピン、ビルマ、カンボジアを転戦。9篇。過酷で理不尽な戦場、収容所体験をユーモアを含んだ独特な冷めた眼で記述した「白い田圃」、表題作(1970年に芥川賞)、「蟻の自由」が印象的。また、戦後、70歳になり、妻とのやり取りを描いた「七ヶ宿村」が良かった。
古山高麗雄の名前だけは知っていましたが、伊坂さん『AX アックス』で本作が引用されていたので、いい機会だと思い、手に取りました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争体験の小説でも戦地ものは初めて読んだ。
原民喜、椎名麟三は戦後の経験のもので、その方が重苦しい実存のようなものを感じたが、こちらはそれよりユーモアすら感じられる作品が多く、あまり引っ張られることなく読めた。物足りなさというより、母や姉、戦地の女性に対する叙情がメインのようだった。
作品によっては20年ほど間が空いているのもあるが、上記の通底するテーマがあり、それらはやはり戦争によって引き裂かれた距離からくる追憶があるのだと感じた。 -
安岡章太郎さんの『悪い仲間』に出てくる藤井高麗彦が古山高麗雄さんのことだと知り、古山さんを読んでみたくなった。
そして古山さんを読み終わってから、もう一度『悪い仲間』も読んでみた。
古山さんの作品を読んでから『悪い仲間』を読んでみると、
最初に読んだ時の「藤井」は、棘と毒気と高慢みたいな感じを多めに感じたのだが、
今回の「藤井」は、弱くて真面目なところが強く引き出されているように感じた。
それは、古山さんの作品を読んで、古山さんが弱くて真面目で人のために尽くす人に思えたからだ。
もちろん、そもそもそういう風にして描かれている作品なのだと思う。私が間違って捉えていたのだ。
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何日も前に読み終わって、感想を書かなくてはと思っていた。しかし、どうにも何を書いていいのかわからなくて書き倦ねていた。
悪くはないし、良かったとも思う。でもこれまでのいつもの読後感とはちょっと違って、感想が思い浮かばなかった。
『白い田圃』と『プレオー8(ユイット)の夜明け』と『蟻の自由』が良かった。
どれも戦争記で、『白い田圃』と『蟻の自由』はビルマでの話、『プレオー8の夜明け』はサイゴン刑務所での話。
どれも戦争記としては読んだことがないようなものだった。
とくに『プレオー8の夜明け』のような、戦犯として刑務所で暮らすというシチュエーションは珍しいと思う。
いつ外に出られるのかわからず、自分達の未来を描けない。生きるためにその日々を明るく過ごそうと芝居をやり、妄想をする。
おもしろおかしく書かれているその奥に深いところがある。
真面目に感想を書くとなったらもう1、2回は読まないと本当の感想は書けないと思う。
いや、何度読んでも感想なんて書けないかもしれない。 -
一兵卒が体験した太平洋戦争を描いた「白い田圃」「蟻の自由」が強烈。読み進められなくなるような怖さではないのだけれど、飢えなくても負傷しなくても、戦争が人間をずたずたにすることを思い知らされる。特に「蟻の自由」は、タコツボの暗闇の中でのモノローグがこちらの体力をごりごり削ってきた。
後半になるにつれてだんだん穏やかな気持ちで読める話が増えてくる。ダメ人間っぽく描かれている古山さんがいい感じにゆるくて、構えずに読ませてくれているのだろう。とはいってもお気楽なエッセイというわけではなくて、戦中派が受けざるを得なかった傷の存在が伝わってきた。
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