地唄・三婆 有吉佐和子作品集 (講談社文芸文庫)

  • 講談社
3.48
  • (3)
  • (6)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 76
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983007

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  1950年代後半から1960年代に文芸誌に発表された短編の集成。当時としては超ベストセラー作家でありました。

     小説って、これだよな。と、思うのです。収録の「孟養女考」にみえる(当時の)新しい中国の形、とか、「三婆」に見える封建的社会の終焉、だとか、「美っつい庵主さん」にみえる(当時の)新しい若い男女の関係、とか、そらぁ含まれるテーマ性というのは、ある。そういう社会情勢に即した作品読解、というのも必要な側面はあるでしょう。だが、そうではなくて。

     「本妻と、妾と、実の妹が一人の男が急に亡くなった後どうやって生きていったか」(三婆)とか、「姪の子が尼寺に訪ねてくるんだけど、女友達かと思ったら男じゃないか―!」(美っつい庵主さん)などなど、そういう「読ませる」文藝として、今現在のシーンでもまったく引けを取るものではなかったのです。

     妙なリアリズムにこだわるよりも、「これは小説なんだぜ!」と明確に打ち出しているところが、とても小説で、小説家としてのプロ意識だと思いました。

     今読んでみて、ハッとするところがあると思います。

  • 「エメラルドって高いもんやろが」
    「でもダイヤモンドより安いわ」
    「同じ買うんやったらダイヤにし、女子の財産や、買うたるがな」
    「だけど、エメラルドの色が好きなのよ、私は」
    「何色や」
    「グリーン」
    「何やて」
    「緑よ。ほら、この音」
    巾(第十三絃)を弾いて左手で軽く押えた。片方の耳を乗り出すように聴いて、寿久は云った。
    「緑か。ふん、そやな、お前に似合うやろ」
    ―『地唄』p.15

  • 日本文学の伝統を、異国者の目から新しく活かした作品

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『女二人のニューギニア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

有吉佐和子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×