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- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061983069
作品紹介・あらすじ
石ころの存在を自らの「生存の原基」として団地居住者となった著者が、少年時に戦争から学んだ「生の綱領」をハカリにして、団地という場所から行なった定点観測。結婚、家庭、生活、社会等、そこに見えてくる戦後の「新しい生のスタイル」に「虚偽」の匂いを感じとる。目前の現実と自身の「生の綱領」との対峙のなかで、「私とは何か」を徹底究明した代表的長篇エッセイ。
感想・レビュー・書評
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―2003年4月―
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再読。秋山駿の文章には、石原吉郎と同じく『日本の名随筆 96 運』で出会った。読み終えた瞬間、頬を平手打ちされ、叩き起こされるような痛みを感覚した。収録されていたエッセイ『簡単な死』には、彼は死への恐怖と不安を、「生に刺激を与える微量の劇薬」のように使用しているとあったが、わたしは彼の言葉を、生に刺激を与える微量の劇薬のように服用している。
関係性の中でしか名付け得ない「何者か」からの脱却。個/孤として自己を合理的に突き詰めていくときに露になる空虚。圧倒的密度の空虚が、おまえは本当に生きているのか、と問う。
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