日本廻国記 一宮巡歴 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983106

作品紹介・あらすじ

一九七八年、"中世の語り物"への興味から発起し、九年の歳月をかけて巡歴した、全国六十八ヵ所の一宮参拝。土地に結びついた神秘と交感したいという著者は、地方色に富んだ風景にとけこみ、神社の結構や佇いを詳細に描写し、記紀や民間伝承文芸等の叙述をふまえて、地神・外来神など、祭神の関係をつづる。人々と祭神の関わりのなかに、日本文化の根底を見すえる傑作紀行。

感想・レビュー・書評

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  • ⚫︎神々の魅惑
    副題に「旅のレリギオ」。
    これは文字通り、(国内)旅行記のつれづれ。
    あとは日本古来の神々と神社仏閣の話。
    うーん。

    八犬伝の話は面白かったけどなー

    あと、
    「視覚型の人間は空間を移動し聴覚型の人間は時間を移動する」
    って、養老猛司の説になるほどと思った。

  • 日本一宮を巡った記録。
    著者がこの大きな旅に出るきっかけとなったのは、日吉の金蔵寺にある廻国巡礼の記念塔だとのこと。
    自分も何度か訪れたことがあるお寺だけに、イントロから興味津々です。
    横浜の日吉(ひえ)は、比叡(ひえ)山との由縁から、その地名となったことを知りました。

    その記念塔には、二カ国欠けた六十六カ国の諸国一の宮が記載されていたとのことで、著者はすべての参拝を決意します。
    はじめはあまり気乗りではない様子でしたが、着々と歩を重ね、足掛け9年かかってすべての一宮を参拝し終えています。

    一宮巡歴は個人的に興味が有るところ。
    ただ、現在では106社が基準ですが、発刊時は全部で68社だったようで、たとえば相模の国一宮の鶴岡八幡宮は入っていません。
    室町時代に成立された『群書類従 第二輯 神祇部 巻第二十三』に編纂されている『大日本国一宮記』に記載されているものが元となっています。

    神社に伝達をする時に一番最初に伝えるのが一の宮で、現在もなお、一宮の定義は曖昧な面もあるそうです。
    格式の高さとは関係なく、また山岳信仰の強い神社は選から漏れる傾向があったと指摘されています。
    式内社である大山は、アフリ神社であるよりも庶民にとっては大山不動であり石尊大権現だったとのこと。
    神仏習合期には、修験道の入っている所は、神より仏の色彩が濃かったのだろうと、著者は推測しています。

    京都に50歳を過ぎるまで行ったことがなかったという著者。
    それからは足しげく通ったそうですが、訪れるのは神社ばかりで、仏閣には一切行かなかったとのこと。
    ドイツ文学者で文芸評論家であるということ以外には著者についてあまり詳しく知らず、そこに個人の宗教上の見解があったのかはわかりませんが、強いポリシーを感じます。
    そこまで神社へのこだわりがあるからこそ、日本中の一宮をめぐるという大それた計画を実行に移せたのでしょう。

    各神社へと訪れるたびに、豊富な知識が披露されます。
    岡田米夫「全国神社祭神御神徳記」の「全国著名神社文社数一覧」によると、全国に稲荷は三万二千、八幡は二万五千、神明(伊勢)は一万八千、天満は一万四百あるとのこと。
    稲荷神社がダントツに多いとわかりますが、八幡宮もなかなかの多さです。

    三輪の大物主のエピソードは、日本書紀と古事記両方で紹介されていますが、日本書紀よりも古事記の方がグロテスクで気味が悪いことがわかりました。
    自分が知っている古事記の話は、きちんと体裁を整えられた読みやすい内容に改編されている事に気が付きます。

    大鳥神社の酉の市は有名ですが、これは「お酉さま=オオトリ=大取り=金を大いに取り込む」という語呂合わせからだとのこと。
    いかにも商人の発想になんだかがっかりですが、関西でこの祭りを主催するのは恵比寿で、大鳥大明神は特に関係がないのだそうです。

    また、東北地方は、かつて陸奥と出羽の二国のみに分かれていたということは、改めて指摘されると驚きです。

    単なる神社の参拝記に終わらないのは、土地や記紀に関する知識が流麗な文章で綴られているから。
    すべて完遂するまでには、月日だけでなく計り知れない労力と体調管理、何より継続の意思が必要だったと思いますが、太古に思いを馳せ、その土地の風土を感じる知的な紀行文に誘われて、自分もすぐにでも一宮巡礼に出てみたくなります。

  • 2010/8/22購入

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著者プロフィール

1941年、東京生まれ。文筆家。慶應義塾大学経済学部卒。『週刊朝日』編集長、朝日新聞編集委員などを歴任。『学はあってもバカはバカ』(ワック)、『王貞治のホームラン人生』(朝日新聞社)、『いまなぜ白洲正子なのか』(新潮文庫)、『夕日になる前に─だから朝日は嫌われる』(かまくら春秋社)、『孤高─国語学者大野晋の生涯』(集英社文庫)、『社会人としての言葉の流儀』(東京書籍)など著書多数。

「2018年 『「浮気」を「不倫」と呼ぶな』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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