パルタイ・紅葉狩り 倉橋由美子短篇小説集 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983137

作品紹介・あらすじ

前衛党入党から離反までを、不毛な性愛の日々に重ね、内的手法で描いたデビュー作「パルタイ」以降、日本の文学風土から自由な、徹底した虚構を追究。そこからは、イメージの豊饒さと方法意識に貫かれた"反世界"が現れる。プロメテウスの罰を再現した「囚人」、白昼夢にたゆとう「夢のなかの街」等、初期作品から怪奇掌篇、寓意譚に至る九篇を収録し、著者の孤高なる文学的歩みをたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 徹底的に観念で言葉を操っているように感じた。虚構が凝縮されて、現実の模倣というよりも、もうひとつの世界を実現させているように思う。しかしこうした倉橋の作風は短編ごとで同じように結実しているわけではなく、解説でも書かれている通り、さまざまな手法が用いられ、ストーリーやテーマのタイプも異なる。だが彼女がやっていることは、小説という言葉の津波で、現実をさらってやろうということなのだろう。特に「囚人」に関しては、戦後社会を見事に神話化させ、鋭利な、磨き上げられた、見事な作品に仕上がっているように思えた。

  • 新潮文庫版『パルタイ』は初期の作品集なのに対し、こちらは年代・系統の異なった作品を収録。案外コミカルでウィットに富んだ作品もあればグロテスクではらわたねじくりかえるような作品もあり。でも一貫して美しい。時間と空間が錯綜し白昼夢の中を彷徨う。蜃気楼でも見ているような幻想感。もうイマジネーションに身を委ね酔いしれるしかない。が、後期作品のハイクラス感は好みでない。

  • とにかく素晴らしい。表題作の「パルタイ」も良いが「夢のなかの街」がなんともよい。カフカ的でもあるが、筒井康隆的でもある。筒井氏も倉橋由美子好きだったはずだが共通点があるかもしれない。
    パルタイは学生時代にも一度読んでいたはずだが、初読の感覚で読んだ。学生運動を女性的感覚でアイロニックに描いている。吉行淳之介ではないが「女性は子宮で思考している」感覚とでもいうのであろうか。
    でも、新左翼に関する本をあれこれ読んで思うのは「この感覚」こそ重要で頭だけの理論で突き進むとその結果として革命運動などというものは簡単に壊れてしまうものだ。ある意味、大衆は「この感覚」故に武闘闘争に進んでいく革命運動に共感できなくなったのではないか、と思ったりする。

  • 学生運動かぁ・・・と思いきや、ホラー?オカルト?そしてエロティック・・・なかなか興味深く、面白く読ませていただきました♪

  • 収録作: パルタイ/囚人/合成美女/夢のなかの街/霊魂/腐敗 /盧生の夢/首の飛ぶ女/紅葉狩り


    ■講談社文藝文庫 2002.11.10 
      解説/「文体(スタイル)設計者の空中楼閣」清水良典
     裏表紙 前衛党入党から離反までを、不毛な性愛の日々に重ね、内的手法で描いたデビュー作「パルタイ」以降、日本の文学風土から自由な、徹底した虚構を追求。そこからは、イメージの豊饒さと方法意識に貫かれた<反世界>が現れる。プロメテウスの罰を再現した「囚人」、白昼夢にたゆとう「夢のなかの街」等、初期作品から怪奇掌編、寓意譚に至る九篇を収録し、著者の孤高なる文学的歩みをたどる。
     オビコピー 「豊穣なる倉橋文学の世界 デビュー作「パルタイ」から怪奇掌編・寓意譚に至る九篇を収録。」「自由な精神と方法の冒険」

  • この短編に熱狂的だったという伝説。
    そんなもんかねぇ、
    なぜかと問いたくなるような時代だったということでしょうか。
    不思議な時代もあったもんですね。

    冷めたまなざしにあこがれる気持ちは、わかりますけどね。
    クールで寡黙な先輩像ってあこがれ。
    (でももう無理とわかってます)

  • むつかしかった

  • みずみずしい痛々しさを味わいたいなら。

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著者プロフィール

1935年高知県生まれ。大学在学中に『パルタイ』でデビュー、翌年女流文学賞を受賞。62年田村俊子賞、78年に 『アマノン国往還記』で泉鏡花文学賞を受賞。2005年6月逝去。

「2012年 『完本 酔郷譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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