死霊(1) (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
3.52
  • (34)
  • (19)
  • (78)
  • (6)
  • (4)
本棚登録 : 685
感想 : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983212

作品紹介・あらすじ

晩夏酷暑の或る日、郊外の風癲病院の門をひとりの青年がくぐる。青年の名は三輪与志、当病院の若き精神病医と自己意識の飛躍をめぐって議論になり、真向う対立する。三輪与志の渇し求める"虚体"とは何か。三輪家四兄弟がそれぞれのめざす窮極の"革命"を語る『死霊』の世界。全宇宙における"存在"の秘密を生涯かけて追究した傑作。序曲にあたる一章から三章までを収録。日本文学大賞受賞。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なぜこの作品が日本文学史上で重要だとみなされたのか、むしろ当時の文壇の状況に関心が向いてしまう。
    各登場人物にそれぞれの思想を語らせているが、結局は一人作者の頭の中にある考えを分配しているだけだというのが透けて見える。そのせいで、独立した人格の衝突が引き起こすドラマという面白さは期待できない。個人の生きがいであれ、政治システムであれ、自分の独自性を主張したいが、考えを整理できない姿を、そのままさらけ出しているという印象だった。
    この『死霊』を一種の私小説だと考えてよければ、固定観念にとりつかれた人間の露悪趣味の作品として受容しておきたい。

    最後まで付き合うべきかどうか判断に迷う。

  • 埴谷雄高 「 死霊 I 」

    形而上学的な思想小説。ヒップホップバトルさながらの 言葉による 思想対立が面白い。

    まだ序盤なので わからないが、死霊という人間的価値が消滅した世界から 人間の価値、人間を超克した人間を見出そうとしているのでは?

    死霊は 戦争直後の著作だから 戦死者の霊を暗示している?


    1章 癩狂院にて。岸博士と三輪与志の戦い「人間存在の意味」「現世はどういう世界か」

    「神様〜蒼白い白痴の少女〜そこにはたとえ無意味であっても、一つの形と変化が確かにあった」

    2章 死の理論。津田康造と首猛夫の戦い「涅槃の境地、自己主張
    の喪失」

    三輪与志「不快は 思惟の法則自体に潜んでいる〜宿命〜思考する人間のめが味あう深淵〜不快が俺の原理」

    3章 屋根裏部屋。新たな形而上学としての虚体論
    *人間が人間を超える〜永遠の人間性を主張
    *存在をのみこみ内包する虚体



  • 全3巻。読むのに十年以上かかった。総じて愉快な場面が多いし、一行一行で言ってる意味はだいたい理解できるのだが、頁が進んでも状況は一向に進展しないので読書が止まってしまい、再開するときにはもう何も覚えていない。

  • 一巻め読了。ここで交わされる議論がそこまで難解という感じはしないが、物語との連関がいまひとつつかめない。霧がたちこめる黄昏の川辺、そこに浮かびあがる黒い橋という光景が好きだった。墓地のシーンもいい。そういう個々のイメージは好きなんだけど、はじめもいったようにそれらと思想の繋がりがまだわからない。

  • 初埴谷。ナニヲカイテイルノカマッタクワカラナイ。何となくドグマグに似てるような…。読み始めてから読了まで半年以上も掛かってしまった・・次巻にはいつ取り掛かれるのか不明だ——。

  • もちろんこの小説の存在はかなり昔から知っていたが、書店で見つけた「第8章」のハードカバー版を買い、そこだけ読んだこともある。
    戦後日本文学にとって重要な作品らしいが、吉本隆明さんなどによる辛辣な批評もあって、どうもいまだに「評価が定まった」とはいいがたい小説なのではないか。
    観念小説である。
    ドストエフスキーを参照しているだけあって、たくさんの人物がどんどん出てくるが、彼らの交わす会話はいきなり抽象的で、日常生活の次元からはあまりにもかけ離れている。
    この巻には1章から3章まで。
    この作品に出てくる若者達の年齢はよくわからないが、たぶん20歳台前半だろう。そんな青二才が、ずっと年かさの中年男に向かって観念論を吐きつける。しかも、中年男の方も、これをまともに受け取って互角に論選を始める。このへんがあまりにも嘘くさく、まるで自己陶酔したケツの青いガキが、偏りまくった観念論をそのまま「小説」にしてしまったかのような、つたないおさなさに近い面もあるだろう。
    ただ、幻想的な情景の設定など、ディテールはそうそう薄っぺらなものでもないようだ。
    ともあれ、続きを読んで様子を見てみる。

  • これをこの本棚に入れるか否か迷った。
    というのも足掛け六年、未だに自分はこの本を「読めていない」気がするのだ。手探りで読もうとすれば、たちまち掴んでいたものが消えてしまう感覚。あと何年かかることやら。

  • 20年ぶりに再読。

  • 昔読んだ本

  • おもしろい。冒頭の蒸し暑さや、全編に散りばめられるギャグ。この小説、全編を通じてひとつのことしか言ってない。それが、一番最後の絶叫なんだよね。

全50件中 1 - 10件を表示

埴谷雄高の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×