鬼火・底のぬけた柄杓 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 57
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983267

作品紹介・あらすじ

焼跡の一軒家で起きた貧しい女の悲惨な自殺を凄艶な美へと昇華させた女流文学者賞受賞作「鬼火」、隠れ切支丹の遺児であった修道女の謎めく焼死を追った「童貞女昇天」等、幻想的短篇七作に、薄幸な俳人の生涯を意欲的に掘り起こし、温かい筆致で描く「底のぬけた柄杓」等、俳人論三篇を併録。少女小説、新聞小説の世界で一時代を劃した吉屋信子のもうひとつの魅力をあますところなく示す精選作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    テーマ :怖い話は好きですか?――異界からの招待
    選考教員:杉村安幾子先生(外国語教育研究センター)
    展示時期:平成25年11月6日~平成26年3月30日 中央図書館で展示
         平成26年 4月4日~平成26年7月24日 医学図書館で展示
         平成26年7月29日~平成27年2月 5日 保健学類図書室で展示

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA61363511

  • 幻想でも怪奇でもないけど、ぞくりとする話が多数収録されている(『童貞女昇天』『鬼火』『嫗の幻想』)。これらの話が昭和三年から三十年くらいの間で書かれていることに驚きも覚えた。
    併録の俳人論三篇も、思いのほか面白く、より深く知りたくなること請け合い。「せきをしてもひとり」尾崎放哉は、求めてこの境遇に至ったんか。

  • 先頃読んで面白かった、ちくま文庫文豪怪談傑作選の「吉屋信子集 生霊」の巻末に、この本に収録されているから敢えて採らなかった作品があるというような記述があったので買った。なので、「生霊」と被っている作品はこちらでは読んでいない。

    こちらに収録の怪談めいた作品も面白かったが、俳人を題材にした作品が思いの外面白かった。文章や作者の気持ちがとてもしっくりきて読み易い。
    巻末の年譜は、著者の体験を基にした風な作品を読む際にありがたかった。

  • 氷室冴子さんの本を読んでいてこの方が取り上げられていたので借りて読んでみました。少女小説を読みたかったのですが一番有名そうなお話がこれだったのかな?
    巻末の略歴を見る限りでは何作か映像化されたみたいですね。一昔前だなあとぼんやり思いました。でもこの鬼火も映画化されたみたですがこんな短い短編なのに映画かあ…。

    小説の方はなんともさみしい厳しいお話が多いなあと思いました。巻頭のシスターの話もそうだし鶴の話もですが女性に対して何となく手厳しいお話を書くな、と思いました。そう言う意味では俳人のことを書かれた後半2部の方が面白く読めました。

    私なぞにしたら永井荷風も遠い昔の人だし関東大震災も第二次世界大戦も大昔の話ですがこの人が書いたこの時代にはまだその人の影響が残っていたのだなあと思いました。もう少し詳しくここに書かれた俳人の生涯を知りたいな、と思いました。

  • 近所の図書館に何か吉屋作品はあるかなと在庫をしらべると、単行本が2冊と文庫が1冊あった。とりあえず文庫を1冊借りてきた。小説の分類に入っていたが、この作品集には、短編が7本と俳人伝が3本、収録されている。

    吉屋信子=少女小説、と思い込んでいるだけでは、決して気づかなかったであろう、さまざまな短編。そして、幸薄かった3人の俳人を描いた「墨堤に消ゆ(富田木歩)」、「底のぬけた柄杓(尾崎放哉)」、「岡崎えん女の一生(岡崎えん)」。この俳人伝は、『自伝的女流文壇史』で描いてみせた肖像を思いださせる。実在であろうとフィクションであろうと、人を描くことがうまいんやと思った。

    川崎賢子によるこの文庫の解説でも、「現代の読者の手に、吉屋信子をとりもどすためには、文芸上の既成観念のいくつかから、読者自身が解き放たれる必要がある」(p.234)などと書いてある。

    ▼本書に収録したテキストは、少女小説家吉屋信子、長編家庭小説、歴史小説家吉屋信子とは異なる側面を伝える。いずれも現代の読者にとって、その手にとりもどし、いまあらためて読みなおす価値のある作品群である。(p.238、p.240)

    そういう分類の作品ではないというので、次は吉屋信子オブ吉屋信子(私のなかでは)の『花物語』を読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1896年(明治29)、新潟市生まれ。栃木高等女学校在学中から少女雑誌に投稿をし、卒業後、作家を志して上京。1916年『少女画報』連載の「花物語」で、少女小説家としての人気を不動のものにしていく。1919年(大正8)、『大阪朝日新聞』の懸賞に応募した「地の果てまで」が1等当選。その後、新聞連載で好評を博した「夫の貞操」などで女性読者をつかみ、流行作家となる。1952年(昭和27)「鬼火」で女流文学賞、1967年に菊池寛賞を受賞。その他『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など著書多数。1973年、逝去。

「2010年 『花物語 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉屋信子の作品

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