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- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061983373
作品紹介・あらすじ
大正期、俳誌「ホトトギス」に身近な台所雑詠を投句、目覚めつつある女性の心の叫びを鮮烈に詠み、天才と謳われながら、師・虚子に破門されるや一転、孤立のなか窮死。強烈な自我と時代の軋轢に苦しみながらひたむきに生きた杉田久女の人生を、俳句、随筆、俳論の三部で構成。
感想・レビュー・書評
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久女の代表作といえばやはり「花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ」だろう。
艶で柔らかい官能性がある。
地元の文学館で彼女の俳句の書かれた短冊を見たとき、その美しい俳句から何とも言えない華やいだ女性らしさを感じた。
しかしその一生は女性としても俳人としても、決して恵まれたものではなかった。「足袋つぐやノラにもなれず教師妻」の句からも連想されるような、家庭の不和に生涯苦しみ続け、師である虚子から破門され、俳人としての未来を絶たれる。
一人の家庭人として収まることの出来なかった強い自我と、自我を開放することのできない不自由な環境のなかで、もがき、魂を削るように俳句を作り続けた。
久女は本当に魂を燃やし尽くしてしまったのだろう。全てを芸術に捧げ、天才と謳われ、数々の俳句を残した。
久女の句を詠むたびに、彼女の痛みを我が痛みのように感じ、また、その美しさに癒されるのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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