大阪の宿 (講談社文芸文庫 みH 1)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983427

作品紹介・あらすじ

保険会社に勤務する著者は実業家として活躍する一方三田派の中心メンバーとして文筆活動を続けた。大阪勤務時代に材を取った本書は、江戸っ子会社員を主人公に下宿先の旅館酔月の女将、下働きの女たち、新聞記者、芸者お葉…等々の人間模様を織り込み潔癖性で正義感の強い東京山の手育ちの主人公が見聞する大阪の世相、風俗、気質等を巧みに描いた傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  •  水上瀧太郎は三田文学の重要人物の一人である。明治生命に勤務の傍ら小説を発表してきたマルチ人間のはしりみたいな人物だ。
     この小説の舞台は土佐堀川沿いの下宿旅館「酔月」。水上が実際に大阪勤務のときに逗留した大阪市西区土佐堀通にあった2軒目の下宿「照月旅館」がモデルになっている。
     「大阪の宿」は大阪に本社があったプラトン社の雑誌「女性」に大正14年から15年にかけて9回分で連載された。
    ここに描かれている大阪はまさに大阪の異邦人である水上の目から見た当時の大阪の姿である。本作品の姉妹小説として位置付けてもいい「大阪」に比べてこちらの小説で描かれている大阪はいくらか好意的に映る。これは先に書かれた「大阪」のときよりも水上の中で大阪という町に対して心情的な変化があったといわれている。
     保険会社に勤めながら小説を書く青年期の水上に、かの地大阪でいかなるロマンスがあったのかを想像するだけでもこの小説は楽しい。

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