徳山道助の帰郷・殉愛 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 17
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983489

作品紹介・あらすじ

陸軍中将にまで昇りつめた華々しい経歴と、その後の不如意な暮らし-時代の転変とともに屈折していく出郷者の想いを追った芥川賞受賞作「徳山道助の帰郷」ほか、フランス人女性と結婚した画家の秘密めいた生活に迫る「殉愛」、祖母の葬儀の顛末を記す「坐棺」の三作品を収録。平明な文体で、人生の様々な局面をおおらかに描いた早世の作家・柏原兵三の世界をあますところなく示す。

感想・レビュー・書評

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  • 「徳山道助の帰郷」「殉愛」「坐棺」の3篇を収録。

    「徳山道助の帰郷」は昭和42年下期の芥川賞受賞作。
    大分の田舎の農家に生まれ、最後は陸軍中将まで上り詰めた老いた職業軍人が、終戦後10年を経て死期の近づくのを感じながら最後の帰郷を果たす。
    これは本当に小説だろうか、と思わずにはいられない淡々とした筆致で、老いた元軍人の人生を振り返るとともに最晩年を迎えた心境を語らせる。
    ごく一部センセーショナルな出来事を盛り込んではいるものの、基本的には取り立てて事件めいたものも起らず、著者自身の母方の祖父をモデルにしたという主人公の人生への、国への、故郷への想いを辿ることで、明治から昭和へと生きた日本人が経験した「時代」を感じることができます。

    「殉愛」は、3篇の中で個人的には最も気に入りました。
    著者自身をモデルにしたと思われる主人公の晩熟な学生が、間借り人である画家とフランス人妻、通いの家政婦として寄り付く美しい主婦との関わりの中で、静かに心乱される感覚がリアルでよい。

    「坐棺」はもっとも私小説的色合いの濃い短い作品。
    学生時代に、祖母の葬式のために富山の農村を訪れた際の回顧の形式をとり、古い因習に捉われた田舎での親族たちの確執を丹念に辿る。
    ひとり先に帰京することになった主人公が思わぬハプニングに遭遇するラストが印象的。

    柏原兵三は、芥川賞受賞して5年後に38歳で脳出血により急死。
    今となっては実に地味な存在ですが、いずれも不思議な魅力のある小説でした。
    すでに絶版になっているようですが、彼の「長い道」という小説は、藤子不二雄Aの「少年時代」の原作だそうです。

  • うーん、これって面白いのか?
    文学的に優れているのか?
    自分には正直分からなかった、というかむしろ積極的につまらなかった。
    この柏原兵三という作家は第58回芥川賞(選者は三島由紀夫など)を受賞しているのだけど、今では全ての作品が絶版となっている。
    この一冊も2003年に出版されたものだが、数年で版切れとなっているようで、古本屋で手に入れたものだ。
    やはり絶版になっているということは読み手がいないのだろう。
    読み継がれるような作家ではないように思えた。
    この本に所収されているテーマも
    『落ちぶれた元エリート軍人』
    『才能が枯れた画家』
    『祖母が死んだ話』
    といった具合であって面白味に欠けるものである。
    芥川賞受賞作である「徳山道助の帰郷」も最初から最後までとにかくつまらなかった・・・。
    これを三島は評価していたそうだが、当時としては結構なサプライズ受賞だったようでそれも頷けると思った(そもそも文芸誌に載るのも担当編集の助力による部分が大きかったようなのだが)。
    ちょっと今回は外れを引いたかなという感じか。
    まあ芥川賞の歴史を知るには良いのかもしれない。

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