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- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061983588
作品紹介・あらすじ
旧制高校に入学した頃の文学との出逢い、詩作、敗戦後の同人雑誌参加、大学中退、大衆雑誌記者時代、肺結核。芥川賞受賞までのエピソードや、父吉行エイスケのこと等著者の交友・文学の"核"を明晰な文体で瑞々しく回想。ほかに「拾遺・文学放浪」「註解および詩十二篇」を収める。
感想・レビュー・書評
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底の浅い誠実さ、軍国主義、マルクス主義、懐疑のための懐疑、などなどに対する、吉行淳之介の違和感はしごくまっとうなもので、とても納得出来る。と同時に、世間で正しいとされていることとか、支配的な価値観とか、そういうものに潜む嘘を見抜くことはとても難しくて、違和感を持ったとしてもそれをひとり孤独に持ち続けていくことの厳しさ困難さというものも、なんとなく想像がつく。わたしが吉行的知性を持っているかどうかは別として。だから、こういう違和感を中学生のころからきちんと持ってられた吉行淳之介は本当にすごいと思うし、しかも時代は戦時下、ファシズムと軍国主義が吹き荒れるなかで自分をまともに保つというのは、きっと現代のわたしには想像もできないほど大変なことで、それだけでたとえ吉行淳之介が文学者として地位を確立していなくとも尊敬に値する。ユーモアと単純明快さを好む吉行淳之介の感性もとても好き。村上春樹が吉行淳之介を(第三の新人を)評価する理由がすこしわかったかもしれない。あと第三の新人の仲良しな感じ、文壇的交流が楽しそうでいいなあ、文学的青春ってすばらしいなあ、っておもった。うらやましいものです。
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