世相・競馬 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (2004年3月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784061983632

作品紹介・あらすじ

終戦直後の大阪の混沌たる姿に、自らの心情を重ねた代表作「世相」、横紙破りの棋風で異彩を放つ大阪方棋士・坂田三吉の人間に迫る「聴雨」、嫉妬から競馬におぼれる律儀で小心な男を描いた「競馬」、敬愛する武田麟太郎を追悼した「四月馬鹿」等、小説8篇に、大阪人の気質を追究した評論「大阪論」を併録。自由な精神で大阪の街と人を活写した織田作之助の代表作集。

みんなの感想まとめ

作品は、大阪の人々のリアリティを深く掘り下げ、日常の中に潜む人間模様を描いています。著者は、終戦直後の混沌とした大阪を舞台に、個々の物語を通じて独自の視点で人間性を探求しています。特に、登場人物たちの...

感想・レビュー・書評

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  • この本が最初に手に取った“オダサク”である。
    織田作之助と聞くと法善寺横丁、夫婦善哉といかにも大阪でございますというイメージが張り付いていて、世代も時代も離れているが、同郷の私には、近すぎて近寄りがたいものがあった。
    が、都合二日くらいで読めてしまった。
    なぜこれだけ読み進めることができたのか、ぼんやりしている。

    大阪の人らは、極端にリアリティを追求する。見栄や外聞などは気取らない。わからないことは「わかりまへん」といえる、そしてそれを「それ、ナンボのもんでっか」と相手にリアリティを突きつける。

    東京からUSJへ旅行に行った女子2名が大阪のバーで、たまたま隣に座った紳士から声かけられて話をしていると「ところで君らの住んでいるとこの家賃いくらなん?」と聞かれたという。
    初対面で生活の一部を覗こうとする、その質問に面食らったという話を聞いたが、その紳士の気持ちはよくわかる。

    織田作之助の作品は、実態を写し取ることに精力が注がれていて、そこに虚飾や惑わしがあまりない。
    小説というものには、出来事の裏に理由が用意されているものだが、オダサクの作品には理由に重心があるのではなく、出来事に重きを置いているようにら感じられる。そして、それは現実を直視し、理由を邪推しない唯物的な大阪人の眼差しがそうさせているのであり、それは同郷人である私にとって馴染み深かったから、スラスラと読めてしまったのかもしれない。

    「競馬」は佳作である。


    • がんちゃんさん
      本郷さん
      コメントありがとうございます!
      ご紹介いただいた作品もぜひ読みたいと思います。
      本郷さん
      コメントありがとうございます!
      ご紹介いただいた作品もぜひ読みたいと思います。
      2024/10/02
  • やばい。わたし、さいきん、オダサクが好きすぎる。はまりすぎる。彼の文章は、何か、不思議な中毒性がある。その文体、そのストーリー、そのスピード、そのリズム。まっすぐにぐんぐん突き進んでいるかと思うと、急に、ぐにゃっと曲がる。基本的には常に猛スピードで疾走しながらも、時々ひょいと、あれれ?と、「アッ!」 ―と、ずっこけたりして、そしてとにかく、ダメ人間というか何と言うか……そんな人たちが多く、そして、だけれども、いつも読み終わると心がホッと温まる。嬉しくて、にこにこと顔に微笑を浮かべてしまう。その読後感がヤミツキになる。<br>
    <br>
    ひとつ悲しいことがあるとすれば、私が大阪をまったく知らず、地名が出てきてもそのイメージも位置関係も何もわからないことだ。それは織田作文学を味わう上でほとんど致命的な欠陥となってしまうんじゃないだろうかと思う。私は、絶対に、織田作之助の描く話を100%理解することはできないんだ、常に何%かの空白ができてしまうんだ、と思うと、何とも言えず寂しい気持ち。(そして「でも絶対に『関西 ― オダサク巡礼の旅』に行ったるぜえ」という気持ち。)

  • 小説に関しては、まるで大阪弁でテンポよく語られていて、ひどく歯切れのいいリズムが印象的であった。
    巻末の「大阪論」は、大阪の風土と文学・芸術との関係を論じているが、とかく一般的な印象論になりがちなところを、さまざまな人物の生涯に託して論じた、特筆すべき論考である。

  • 八木沢里志「続・森崎書店の日々」つながり。「競馬」のみ読了。真面目なだけがとりえのさえない高校教師が、美しい女給の一代に入れあげ、思いが通じ、結婚することになったが、間もなく一代が病に倒れ、懸命の看病、あらゆる治療法、薬をためすも、果たせず。空虚になり、職も失い、競馬にのめりこむ。一代にかけて「1」の馬ばかり買いつづけ。競馬場で、もしかして昔、一代の男だったのでは、という男と会うが、確かめる勇気もなく、顔をあわせば何言か話す関係だが、最後の持ち金、職場の金すべてつぎこんだ勝負に勝った瞬間、その男と抱き合って喜びを分かち合ってしまう。競馬にのめりこむ、墜ちていく、熱狂は読んでいて手に汗にぎってしまう。そうせざるを得なかった、一代への思いの深さも。

  • 読みやすい短編集です。
    不健康がもてはやされていた(?)頃の作品です。

  • 馬券一枚に人生があるのだと、競馬をしない自分にもつくづく感得できる。その昔、早稲田のACTミニシアターへ行き、隣の古本屋で新潮文庫版を買った。どうでもいいコトが忘れられない織田作。

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著者プロフィール

一九一三(大正二)年、大阪生まれ。小説家。主な作品に小説「夫婦善哉」「世相」「土曜夫人」、評論「可能性の文学」などのほか、『織田作之助全集』がある。一九四七(昭和二二)年没。

「2021年 『王将・坂田三吉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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