月光・暮坂 小島信夫後期作品集 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 64
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061984554

作品紹介・あらすじ

かつての作品の引用から、実在する家族や郷里の友人らとの関係のなかから、ひとつの物語が別の物語を生み出し、常に物語が増殖しつづける"開かれた"小説の世界。"思考の生理"によって形造られる作品は、自由闊達に動きながらも、完結することを拒み、いつしか混沌へと反転していく。メタ・フィクションともいえる実験的試み九篇を、『別れる理由』以降の作品を中心に自選。

感想・レビュー・書評

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  • あとがきを読むに、この本は小島信夫の私小説的なものの、残響のような短篇集らしい。私が読んでいる小島作品は、新潮文庫の短編集『アメリカン・スクール』と『私の作家遍歴』のみであって、老境に入った小島先生の周囲を描いたものはない。だからなのか、主人公である小島さんの感情がなかなか動かないからなのか、小説の中に入っていくにはなかなか骨の折れる話が多かった。それだけに「暮坂」は白眉であるように感じた。第1章は『私の作家遍歴』を思わせる、あっちこっちに話の移る芸術についての講演であって、これは小島信夫の、自分の小説の解題のように思われる。だからこそ、第2章から続く小島信夫の〔いつもの〕日常小説が、不思議に読みやすく思えてくる。1番面白いのが小島先生が怒るところで、どうやら小島信夫という作家は、人を怒らせるシーンを描くときに輝くような気がしてならない。「暮坂」4章の、岐阜人の記者に対して怒るシーンは、声を出して笑ってしまった。

  • 2013/2/22購入

  • 話の筋や重心を追うのがすごく難しいのに、重力があって読むのをやめられない。どうすごいのか説明できないけれど、すごい。

  • 小島信夫の後期短編集。
    彼の作品はずっと読みやすいものだと勝手に思っていたけど、この本は結構厳しかった(ただでさえ自分は短編を読んで感じる能力が劣ってるので)。
    過去に書いた作品から新たなエピソードを紡いでいるものがあって、元ネタを知らないと難しい気がした。
    文章も繋がりが一読しただけでは分からない部分が結構あった。
    この本から小島信夫に入るのは危険だと思う。
    前もって他の作品を数冊読んでから、手に取ることをお薦めしたい。
    そうすればある程度は楽しめるかと。
    個人的に良かった作品は「天南星」かな。

  • 読み終えたけど、感想はのちほど

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著者プロフィール

小島信夫(1915.2.28~2006.10.26) 小説家。岐阜県生まれ。1941年、東京帝大文学部英文科卒。岐阜中学、第一高等学校時代から創作を始め、東大時代には同人誌「崖」を刊行。大学卒業の年に徴兵検査を受け、翌年入隊。中国で暗号兵として過ごす。46年、復員。岐阜師範学校に勤務。48年、上京。同人誌「同時代」を刊行。佐原女子高校、小石川高校を経て、54年、明治大学に勤務。55年、「アメリカン・スクール」で芥川賞受賞。57年、米国へ留学。63年、学生結婚した妻を喪い、この経験を、65年、『抱擁家族』へと昇華。翌年、同作で谷崎潤一郎賞受賞。68年から「別れる理由」を「群像」に連載。73年、『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞受賞。82年、.『別れる理由』で野間文芸賞受賞。89年、日本芸術院会員となる。94年、文化功労者に選出される。98年、『うるわしき日々』で読売文学賞受賞。99年、郷里に小島信夫文学賞が設立される。主な著書に『小銃』『墓碑銘』『美濃』『月光』『暮坂』『各務原・名古屋・国立』『残光』など。

「2016年 『抱擁家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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