- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061984639
作品紹介・あらすじ
昭和十一年、ベルリン・オリンピック観戦のため、欧州へと旅立った横光利一。船上で二・二六事件の報に接し、パリでは人民戦線派と右翼の激突‐ゼネストに困惑する。スペインでのフランコ将軍の反乱、ドイツでのヒトラー支配の絶対化など、世界史の転換の最前線を直に知り、文明のあるべき姿を模索する赤裸で真撃な紀行文。戦時下に書かれた最後の大作『旅愁』を生み出す契機ともなった、時代精神の貴重なる軌跡。
感想・レビュー・書評
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昭和11年にこれだけの欧州旅行ができるというのは相当な身分だったのだろう。
地中海に入ってくると旅客の心理が英語からフランス語になってくる。
人間はなんと深すぎた努力をしてきたのだるお。
日本人は何も畏れることはない。
智慧の低級な者でなければ酔っ払わないという見解を持っているからフランスには居眠りと酔っ払いはいない。
フランス人は笑うことが非常に少ない。笑う必要を感じぬだけの言葉があるからだ。まだ日本は笑わねばならぬ。笑う門には福が来ないのだ。
何よりもまず生きることだ。新しい文学はつまらなくてもかまわない。
日本の非文化的なところは、知識階級の中に日本を嫌う人間の多いことだ。私は何より日本にとって重要なものは自信だと思う。
文化国が文化国であることの最大の理由は、その国の伝統にあるのではないか。それ以外に文化とは何ものでもない。およそ愚劣な話の中で文化を退ける知性ほど無意味なものはない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国絡みのところだけ拾い読み。今の上海とはずいぶん違うものだと感じますね。この数年、上海に行くと泊まるのは静安寺近くの上海賓館なので、静安寺界隈の雰囲気は知っているんですが、本当に今とは違う……。