柿二つ (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 15
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061984868

作品紹介・あらすじ

正岡子規と高浜虚子-無二の友でありかつ火花を散らす二つの個性。病床に臥す子規の日常、死を所有する内奥の恐怖と孤独を凝視、写実に徹した写生文の白眉と評された長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞連載で、1話ずつ掲載、5話で1章の計20章立て、合計100話連載と云う数ではありますが、文庫本になってしまうとその薄さにさらりとすぐ読めてしまう物かと思いきや、一話ずつ一文ずつをいちいち噛みしめつつ読み込んでしまいました。この処、正岡子規をめぐる本を鋭意に読んできましたが、やはり一番近くで本人を見てきただけあり、最も赤裸々で、生々しく、濃厚な一冊でした。

    虚子は2度も後継者話を蹴り子規を絶望させていますが、それでも最期まで子規の看護に勤め、看取ります。かと言ってその人を底抜けに敬愛していたわけでも無く、どちらかと云うと、敬意?の中には諦観が見え隠れしてるというか…ヤレヤレだぜ、みたいな。何とも説明しにくい2人の関係だなあと。

    正岡子規大好き!と云う方の書かれた本には、やはりどこか夢見がちなファン心理と云うか、作品は悪くは無いけどホントかいな?と云う疑問が残るのですが、これはそう云う気持ちを覚ましてくれる点から、最も本人にクローズアップできるファンブックとも云えます(笑)

  • 虚子自身も内面の葛藤があったはずだと思う。
    だが俳句とおなじく写生に徹する。

    それによって読者は主観的描写に遮られることなく、子規と虚子の関係、それぞれの内奥を肌に感じることが出来た。

    読後に感じるのは、言外の「心の痛み」、読者もまた子規の死に直面したという衝撃。

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著者プロフィール

明治7年松山生まれ。本名、清。子規、漱石、碧梧桐らと親交を結び、『ホトトギス』発行人となって今日の俳句隆盛の基礎を作る。「客観写生」「花鳥諷詠」など、広く老若男女に俳句を伝え広めると共に、多くの優れた俳句作家を育成した。文化勲章受章。昭和34年没、85歳。

「2021年 『進むべき俳句の道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高浜虚子の作品

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