回転木馬のデッド・ヒート

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  • 講談社
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062018395

感想・レビュー・書評

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  • 現代の奇妙な空間―都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。

  • 本書の冒頭に、「小説と呼ぶことについて、僕にはいささかの抵抗がある。もっとはっきり言えば、これは正確な意味での小説ではない。」とある。著者ご本人を含め、対話を通じて語られたその人の実体験談を村上さんが書いたもの。他の人の生活の一部を覗き見るような、後ろめたさより好奇心が先に立ち、読み進める手を止められない。
    様々な人がいるし、私がこれまでの人生で出会ったことのない種類?の人たちもいる。本書に登場する人を、あるカテゴリーにまとめるならば「孤高の人たち」なのだと感じた。
    村上春樹さんの著書で、読んだことがあるものは、「アンダーグラウンド」と本書で二冊目になる。いずれも、ノンフィクションの部類になる。
    あまりベストセラーと言われている本は手に取らないので、村上春樹さんの本にはこれまで触れてこなかったが、彼の小説を是非読んでみたいと思った。
    この、独特の語り口をまた読みたくなる。翻訳も多数あるようなので、翻訳ものから触れてみるのもいいかもと思った。

  • 本当の話なんだろうか?聞いた話なんだろうか?世の中には不可思議なことってあるものだ。

  • 村上春樹さんが他者から聞いた話を元に多少の変更を加えた短編集。



    プールサイド

    「もし水泳競技にターンがなく、距離表示もなかったとしたら、400メートルを全力で泳ぎきるという作業は救いのない暗黒の地獄であるにちがいない。

    ターンがあればこそ…400メートルをふたつの部分に区切ることができるのだ。

    <これで少なくとも半分は済んだ>…<これで3/4は済んだ>…という具合に長い道のりはどんどん細分化されていく。

    …物事がどのように巨大に見え、それに立ち向かう自分の意思がどのように微少に見えても、それを<5メートルぶん>ずつ片づけていく…」


    自分の生き方、考え方として覚えておきたい文章でした。

  • 村上春樹による文章のスケッチ。
    ほぼ20年ぶりに読み返した。
    現実的な文章もいいね。
    相変わらず日本語がお上手。
    簡単に見えるのだけれど。

  • これは小説ではなく
    世にも奇妙な実話集。

    村上さんが直接聞いた
    不思議な話を集めた一冊。

    年明けによんだ東京きたんの
    ような雰囲気でなかなか
    面白く興味深い内容と
    なっています。

    全体を通しでマルっと
    読み返すのは実に久しぶり
    でしたが、ここに収録されている
    「嘔吐1979」は好きで
    なんとなく気が向いたときに
    何度も読んでいたのですが
    やっぱり面白く読んでしまいました。

    何度読んでも面白い
    世にも奇妙な実話集。



    読むのにかかった時間:3時間

    こんな方にオススメ:ちょっと不思議な体験をお持ちの方

  • それぞれの話の中に人生の陰が見えかくれする。良かった。

    ※1998年再読

    ★再読―――――――――――――――――――――――――――

    乳の海/藤原新也

    11 現代のアイドル像、マザコン少年、学園都市などをつむぎ合わせ、管理社会の実態を暴きだす。

  • 村上春樹の短編集。どちらかというと私は村上春樹は長編ではなく短編のほうが好きだ。「タクシーに乗った男」は『まだこれから先何かをそこから得ることができるはずだ』という希望も内包したメッセージ。
    「人は何かを消し去ることはできない、消え去ることを待つしかない」というフレーズは何故か心の奥に残った。

  • 村上 春樹の【回転木馬のデッド・ヒート】を読んだ。

    9つの短編からなる作品である。初版は1985年なので、これまた随分古い本であるが内容は2009

    年に読んでも全然古臭くなどない。

    村上春樹は【カンガルー日和】の中での作品は「小説のようなもの」と表現していたが、この【回転木馬

    のデッド・ヒート】では「ここに収められた文章を小説と呼ぶことについて、僕にはいささかの抵抗があ

    る。もっとはっきり言えば、これは正確な意味での小説ではない」と断言している風変わりな作品集だ。

    つまりこれはこういう事である。【回転木馬のデッド・ヒート】に収められた文章は村上春樹が小説を書

    くために走り書きしたネタであり、他人から聞いた話を若干の脚色を加えてはいるがほぼそのまま書きな

    ぐった文章の集まりだというのだ。

    「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるように、ここに収められたネタはドキドキするようなスリ

    ルはないが、我々の生活と隣り合わせにあるのだろう摩訶不思議な世界観を醸し出す。

    身近にこういう不思議な空間をもつ人物がいて、そういう話が耳に入るという事実が、村上春樹が村上春

    樹である由縁でもあるのかも知れない。

    ドイツに旅行に行き、夫へのお土産を買う30分の間になぜか離婚を決意した妻の話「レーダーホーゼ

    ン」、名も無い画家が書いた不思議な絵を持っていた画廊オーナーの話「タクシーに乗った男」、とにか

    く友人、知人の妻と寝るのが趣味で原因不明の嘔吐が40日間続いた男の話「嘔吐1979」、ストーカ

    ー的に同級生の部屋を望遠鏡で覗き続ける男の話「野球場」などたしかにそのまま小説にするには物足り

    ないが、事実として受け止めるならかなり衝撃的な話が次々と出てくる。

    そういう話題に対して「僕」(村上春樹)が思ったり言ったりしたこともなかなか面白い。

    小説家ってこういう思考の構造してるのかと、思わず唸ってしまう。

    本来なら世に出ることのなかった、いわゆるネタ帳がこういう形で日の目を見るということに村上春樹自

    信も戸惑いつつもこうするしか方法がなかったと語っているところが彼らしくていい。

    彼自信はどちらかと言うと自分の話をするよりも他人の話を聞いているほうが好きだと言い、そしてこう

    いう話をされる事が不思議と多いと言う。

    しかし、そういう能力(他人の話を面白く聞ける能力)が小説家として具体的に何かの役にたっているか

    と言えばけしてそういう事はないと言う。

    だが、僕からしてみればそういう話が身近にある、またはそういう話の中に何かを見出せるということが

    村上春樹の凄さや強みであるのではないか、と、この不思議な9つの事実を読んでいて思うのだった。

    村上ワールドの原点を垣間見たような気がして少し得をした気分になる作品集だった。

  • 短編ね。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月7日発売の『文学界』で短編小説を2作掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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