機動戦士Zガンダム 強化人間 (第3部)

  • 講談社 (1985年9月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062023658

感想・レビュー・書評

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  • " 一年戦争以来、地球近くの宇宙はゴミが多いのだ。モビル・アーマーにすることによって装甲を厚くすることができ、それだけ安全性が高くなったのである。" p.183
     これがモビル・アーマーという名付けの理由? 後付け? 確かに、進行方向に対して装甲が厚くなるデザインであるようには見える。


    フォウ・ムラサメはファムファタールである。長い時を過ごすうちに、そんな基本的なことも忘れてしまっていた。
    読み返して思う。フォウ・ムラサメはファムファタールである。声帯も最高だった。
    ミーム汚染によって、カミーユとフォウがロミジュリするいいシーンでシスベシフォーウが脳内で再生されてしまったとしても。

    その一方で強化人間は嫌いである。設定そのものはよい。悲哀も。
    しかしワイルドカードすぎるそのありようは、敵の制御下にある巨人機に搭載されたブースターで宇宙へ駆け上るなどという作劇を可能にしてしまい、それを精神的に不安定だから仕方ないよねと説得されるのが嫌だった。それを認めるとなんでもありになってしまう。実際、かなりなんでもありになった。思い返せばエルチの洗脳も嫌いだった。
    嫌いだったので、強化人間というものをよく知らずにいた。薬物による洗脳くらいに思っていたのだが、脳にコントローラーを埋め込んだり内蔵を交換するなどの肉体改造や訓練による反射強化がなされているという詳細が本書から知れた。小説版『機動戦士ガンダム』冒頭で訓練教官が産毛まで再現した義肢を装着していたりする世界である。実用レベルの人工臓器もあるのだろう。
    その上で、身体能力が強化されたようすがきちんと描写されていてよかった。空手をやっていたハイティーンの男子が追いつけない脚力、高いビルの階段を一気に駆け上がる心肺機能など。

    さて、強化人間とはなんであろうか。当時まだ流行りの名残を見せていた改造人間の富野版にすぎないのだろうか。
    劇中、ブラン・ブルタークは気の利かない若い士官に苛立ちを見せている。そのさまに監督が現場に抱く想いを反映しているのではないかと思わせる。
    逆に、コントロールが効かない才能を持て余すことがあったのではないか。それが強化人間として発露したのではないか。
    などというにわか妄想を抱いた。上の世代が下の世代に抱きがちな、ありきたりの感覚だが、感じやすい人間に表現されるとこうなる、みたいな。

    菌糸類の人はいろんな栄養素を吸収して新世代の厨二病の苗床となったが、コアすぎて表に出てきていない要素があるように思える。強化人間大好きなんだろうな、とかふと。

    圧倒的な戦力差がありながらティターンズがエウーゴを制しきれない理由として、新造組織ゆえの隙が述べられている。ニューギニアは基地が引越の最中で、慣熟訓練中?のドゴス・ギアは人員が1/3の状態でアーガマと遭遇した。ご都合すぎない背景描写と思える。

    長らくカツはアホだと思ってきた。その印象に変わりはないが、サラが上手なのだと分からせられた。
    若くしてハンバーガーショップの店長を任せられる程度の才覚はあり、ティターンズにスカウトされるようななにかがあり、一兵卒でありながら戦場を俯瞰する直感を発揮できる。そういう描写を必要とされるキャラクターだと、映像作品では気づけなかった。

    ダカールの会議の重要性を今の今までまったく理解していなかったのだが、地球連邦が正規軍の指揮権を正式にティターンズに移譲する法案が可決された会議だった。
    他の場所で著者は『一下級将校の見た帝国陸軍』に言及している。そこには、大日本帝国とて戦争は議会の承認なくしてはできない云々と記されている。近代国家が戦争遂行を可能とするためには議会で予算が決議されることが必要だと看破している。この本の文庫版は1987年刊行なので、本書より後発だが、戦争を実感している方々にとっては当然の理解だったのだろうか。

    アーガマのメガ粒子砲は衛星軌道上からティターンズのキリマンジャロ基地に打撃を与えられるらしい。

    ついでのように語られるシンタとクムの登場。必要な存在なのだろうかと、ZZを経たあとでも思う。

    ベイパーコーン(文中ではショック・コーンと表記されている)をさりげなく表現するなど。地球に降下してきたZがベイパーコーンをまといつつ対空砲火を避けてみせるイメージはエモい。

    飛行中のドダイの上でMSパイロットの変更を行う。飛行中の敵の巨人機からブースターを奪うなどもそうだが、ちょっとどうかなと思うアクションシーンを入れるのは、流行りの映画のアクションとかを意識したりしているのだろうか。

    シャアが主役だった一巻、アムロが主役だった二巻、カミーユが主役となった三巻。

  • サブタイトル「第3部 強化人間」

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著者プロフィール

とみの・よしゆき 「機動戦士ガンダム」シリーズの総監督にして原作者。多くのヒットアニメシリーズを手がけているほか、ノベライズ、オリジナル作品も含めて50冊以上の著作がある。

「2010年 『リーンの翼 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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