由煕(ユヒ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 27
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062043038

作品紹介・あらすじ

留学生活に傷つき、母国を去らねばなぬ在日韓国人女性の悲劇。第100回芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 「由煕」
    特権と言うのか知らんけど
    韓国の最高学府(ソウル大学?)に簡単な審査だけで入学した女がいた
    彼女は、母国の文化に触れることで
    在日としてのアイデンティティー不安に立ち向かおうとしたのだ
    しかしなんというか、それ以前の問題で
    エネルギッシュなソウル市民の猥雑さに耐え切れず
    ギブアップしてしまう
    そんな話です
    インターネットもない時代じゃ仕方のないこととはいえ
    リサーチ不足であろう
    理想を裏切られた主人公は、韓国語にも拒絶反応を示すようになる
    最後に暮らした郊外の下宿では
    まるでホームステイのように暖かく迎えられたが
    それで何かの埋め合わせができたわけでもない
    裏に「過保護」へのいらだちも感じられる

    「来意」
    あるがままの自分でモテモテだった元・画家が
    ひとりの女と出会ったことで表現欲を再燃させ
    凡庸な現実とのギャップに悩むのだけど
    「あるがままの私でいいのだ」という気づきを得た結果
    日常に復帰していく
    うーん…まあいいか

    「青色の風」
    両親の不仲に悩まされる少女
    隣に住む少年の前ではお姉さんぶっている
    しかし本当は死にたい気持ちを抑えているのだ
    やがて、鏡の向こうに本当の自分の居場所があるのだと
    妄想しはじめる

  • 表題作のみ

  • こないだ読んだ安田さんの「ヘイトスピーチ」の中に「李栄は、芥川賞作家・李良枝の妹である。「由煕」「ナビ・タリョン」などの作品で知られる李良枝は、1992年に37歳で夭折した。」という一節があり、これでわたしは初めてこの人を知った。なんとなく気になったので芥川賞を取った作品であるという「由煕」を図書館で借りて読んでみた。

    話の一番最後の方に、朝起きて「ア」と発音したときに、それは「あ」なのか「아」なのかで、言葉の杖を掴めるかどうか試されている気がする、という部分があるのだけど、そこの部分がなんか、衝撃的だった。

    韓国が「外国」と感じているわたし、いや、外国というか少なくとも「繋がり」は感じていないというか、いや、自分の祖先は渡来人ではないという確証も何もないので、もしかしたら繋がっている可能性はあるものの、取り敢えず感覚的には他の外国と同じ感覚とでもいいのか、韓国はわたしにとってはそのような国に過ぎない。だから、わたしにとっては朝鮮語は外国語で、だから「아」だってわたしにとっては永遠に外国語であるのだ。だけど、在日二世である主人公はそうではない。「あ」も「아」も自分と関係のある言葉。だけど主人公の中には「あ」と「아」の間にどうしても温度差がでてきてしまう。結局主人公は「아」を捨て「あ」に戻っていく、という話だったが、とても複雑な気分がする話だった。

    他の2編はもっとわけが分からない話だった。この人、わたしにとって一定の「わけわからなさ」を持ってる人です。思考回路が全く分からない。だけど、それはなんとなく「あー、もう無理無理。わけ分かんないから次!」っていうより「なんでこの人はこういう話を書こうと思ったんだろうか」という風に気になる人。なので、次はこの人の「全集」(と言っても作家活動はたったの10年だそうだから、ほんの1巻のみだけど)を読むつもり。

  • この体験は万人に共通することではないような、ちょっと共感できなかった。

  • 第100回 芥川賞 初版

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