軽いめまい

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 57
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062043083

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  • 金井さんの文体。れんれんと続くその連なりはまるでえんえんと続く家事仕事のようで。そんなことを思った。
    また、蛇口をひねってぼうっと水が流れるところを見ているときに感じる軽いめまい。それは男性が見てみぬふりをしている女性のもつ虚無感というか、遠い昔からの怒りというか。この女性特有のものをすくいとって、うまく表現していると思う。

  • 一文が長くて時々よくわからなくなるけど、普通の主婦が日常で感じることには共感ができてよかった。

  • 気のいい夫、まだ幼い2人の息子と郊外のマンションに暮らす夏実の日常は、何も起こらず、でも何かはあり、という毎日。
    金井作品なのだから、もちろん^_^; 意地悪な目線はなくもないのだけど、眩暈がするほど穏やかな主婦の毎日を描くこのお話。

    今週、久々に老親の様子を見に田舎に帰ってきたのですが、特急で片道二時間の道中用にと持参した数冊のうちの一冊。綺麗な緑に澄んだ海を間近に見ながら進む電車の中で、それこそ眩暈がするような気持ちで読みました。(*^_^*)

    ↓は以前に書いた感想。で、今もまた、同じようなことを思っているので、進歩がないなぁ、と思ったり、でも、そこがこの「軽いめまい」の根本だよね、と思ったり。

    今回は、少し引用などしてみようと思います。

    ・・・母親は、どう?と夏実に向かって言い、「どう?」という短い質問の意味はすぐわかったので、ふん、という様子で無視していると、じれったそうに、優しいし、いい人じゃないの、あんたが連れてきた人のなかじゃあ、あたしは一番いいと思う、とさっさと先走り・・・


    少し肥満気味で父親似の上の子が鉄棒から落ちてー運動神経の鈍いところが似ているし、妙にイコジなところも似ている、と夏実は子供に対して腹が立つと思うのだー骨折にまでは幸いいたらなかったものの、・・・・

    ・・・・と言い、そういった思ってもいないことを、さも本当のことのようにと言うか、思ってもいないことを口にしていることが相手にわかったとして動じたりはしない平然さで月並みなお愛想が言えるようになって十年はたったかなあ、と、ふと思ったりしたのだが、ジノリのカップでアールグレイーこの紅茶の香料はどうも好きになれないーを呑み、カットグラスのフルーツ皿に盛られたスーパーマーケットで買ってきたばかりのハーゲンダッツのチョコレートクッキー入りアイスクリームーやけに甘くてネチョネチョしていて悪く口に残る味ーを食べながら、見方によっては、と言うか、ある種のタイプの男にとっては、美人ということになるのかもしれなお朝倉さんは・・・・


    う~~ん、なんか引用してたら、夏実がとんでもなく意地悪&何にでもネガティブに向かい合ってしまうイヤな女に思えてきてしまうのだけど、読んでいるのと、別に普通だよね、と思っていた自分がちょっと怖くなる・・・なんてね。(*^_^*)

    は・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    何度目かの再読です。

    夏の疲れを感じる中で、金井美恵子さんは私の大事な秘密兵器だなぁ、と・・・。(*^_^*)
    専業主婦が「昨日と同じ今日」を送る苛立ち感が「軽いめまい」を引き起こしてしまうのだけど、
    それをこれでもか、というくらい饒舌に、ある意味愚直に延々と描写されているところが、まさに、読んでいても眩暈がしてきそう。
    毎日行くスーパーの商品の配置の描きっぷりなんて、もう、お見事!と言いたいくらいにしつこくて(*^_^*)、でも、あぁ、わかる、わかる、となんかお腹いっぱいになった気分。
    しかも、何年か前のお買いものメモが出てきた、とあったその食品を、終わり近くでまた買い物してるんだもの・・。
    主人公は別に不幸せ、というわけではなく、こんな時代だったら退屈しているくらいが幸せじゃないの、なんて思ったりもするのだけど、そんな話じゃないんだよね。
    いつもの意地悪さがこの作品ではあまり前面に出てないところがいいような、物足りないような?(*^_^*) でも、やっぱり面白いぞぉ〜〜と、金井さん、感謝なのです。

  • 再読。最初に読んだ時、終わりの方で出てくる写真家の作品展に対する批評が何だか唐突で違和感があったのだが、今回もその印象は変わらなかった。あとがきによると、最初からこの小説のために書かれたものだそうだ。簡単にわからせてくれないところが金井美恵子…。

    と、?な気持ちまで肯定的になるのは、やはり圧倒的に面白いからだ。ありがちな言葉に回収されない日常を描いていて、その視線のありようが独特だ。ヒヤッとしていながらどこかおかしく、もやもやしているようなすっきりしているような、まさに「めまい」のような感覚がある。

  • 33/100

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著者プロフィール

1947年、群馬県高崎市生まれ。1967年「愛の生活」で、太宰治賞の候補作となり、作家デビュー。翌年、現代詩手帖賞を受賞。『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞受賞)、『タマや』(女流文学賞受賞)、『恋愛太平記』『カストロの尻』など著書多数。

「2021年 『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパ-ティーへようこそ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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